
マイホームを購入した後で、遠方への転勤が決まった場合、家族で引っ越すか単身赴任をするか悩むことも多いでしょう。家族で引っ越すことに決めても、マイホームをどうするのかという問題があります。
マイホームを賃貸に出すか、売却するか、悩んだ際に参考になる判断ポイントをお教えします。ぜひ参考にしてみてください。
売却か賃貸かの分岐点は物件の状態にある

マイホームを賃貸に出したほうが有利なのか、それとも売却するのが得策か、判断のポイントは物件の状態によると言っていいでしょう。
専有面積が広いファミリー向けのマンションや一戸建てなら、賃貸よりも売却のほうがおすすめです。その理由は、空室リスクが高いからです。
賃貸物件の利用者の多くは、単身者と夫婦2人世帯です。ファミリーマンションや一戸建ての場合、賃貸に出してもなかなか入居者が決まらず、結局は空室のままになってしまうことも少なくありません。
マンションか一戸建てかを問わず、築年数の古い物件も売却向きといえます。築年数が古い物件の場合、リフォームにある程度のお金をかけないと、やはり入居者が集まらないという結果になりがちだからです。
築年数が古いマイホームでも、売却するならリフォームの必要はありません。それどころか、買ってから自分好みにリフォームして入居したいという購入希望者も一定数いるので、早々に売却できる可能性もあります。
長年住んだマイホームに思い入れがあるので、絶対に売却したくないというケース以外は、リフォームにお金をかけて賃貸に出すより、売却した金額を転勤先でのマイホーム作りに役立てたほうがいいでしょう。
反対に、賃貸に向いている物件は、築浅で交通の便がいいところにあるコンパクトマンションです。
夫婦2人世帯にぴったりのコンパクトマンションは、需要の高さに比べて供給量がそれほてど多くありません。そのため空室リスクも低くなっています。
コンパクトマンションなら、収入に余裕のある単身者もターゲットになります。夫婦2人世帯や余裕のある単身者は、生活が荒れにくい傾向にあるため、きれいに使ってもらえる可能性も高くなります。
売却か賃貸かを決める第2の判断ポイントは利回り

売却するか賃貸に出すか、物件の状態だけでは決めきれないこともあるでしょう。その場合は、賃貸に出した場合に得られる実質利回りも判断ポイントになります
実質利回りは、物件から得られる家賃収入から維持にかかる経費を引いて、購入価格で割ることで求められます。計算式としては以下のようになります。
(1年間の家賃収入-1年間の維持管理にかかる経費)÷(物件購入価格+購入時の諸経費)×100
築浅物件なら3%、築古物件なら4~6%の実質利回りが指標になります。
賃貸に出す場合、物件の管理を管理会社に委託しても、大家としてそれなりの負担は追わなければいけません。利回りが指標に満たない場合、賃貸に出しても維持管理の負担が増すだけで、収入にはつながらないと考えておきましょう。
それでも売却か賃貸か選びきれない場合は、不動産会社に相談して、同時進行してもらうという手段もあります。賃貸と売却で集客状況を比較して、最終的に有利なほうを選ぶという方法です。
ただし、不動産会社が得られる仲介手数料は、賃貸よりも売却のほうが高くなります。そのため不動産会社が、自然と売却に力を入れたセールスになってしまうこともあるので注意が必要です。
また、マイホームを賃貸に出すと決めた場合、注意しておきたいことがあります。住宅ローンの残っているマイホームは、原則として賃貸には出せません。
住宅ローンは基本的に、マイホームの取得資金を貸し出すものです。そのため住宅ローン返済中の家を賃貸に出すと、ローン契約違反に問われて、残金の一括返済を求められてしまいます。
ただし金融機関によっては、住宅ローンから投資用ローンへの借り換えができたり、一定の条件の元でそのまま返済を継続できたりすることも。
住宅ローン返済中のマイホームを賃貸に出したいなら、あらかじめ金融機関に相談しておくことをおすすめします。
住宅ローン返済中のマイホームを賃貸するときに注意すべきポイントについては、下の記事で詳しく解説しています。ぜひ目を通してみてください。
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