
「バルク売り」「バルク買い」という言葉をご存知ですか? 分譲マンションの部屋を複数戸、まとめて売買することを「バルク売り」「バルク買い」といいます。
さまざまなメリットがあり、高利回りが期待できるバルク買い。その理由や、購入する際の注意点を解説します。
セット販売でお得なバルク売りが出る理由

分譲マンションの売買では、通常は1戸ずつバラバラに売りに出されます。購入者は、投資目的でも自分が住むにしても、売りに出ているうちの1戸を購入します。
しかし、同じマンションの部屋が「○戸で○○○万円」のように複数戸まとめて売りに出されることがあります。これがバルク売りです。なぜそんなことが起こるのでしょうか。
例えば、分譲マンションの建っている土地の持ち主が、土地を提供することと引き替えに、マンションの何戸かを譲り渡される「等価交換」をすることがあります。土地の持ち主は自分が住む1戸を除き、余った部屋をまとめて売りに出して現金を得るのです。
ほかにも、分譲マンションを含む周辺の土地を開発したデベロッパーが、マンションの部屋を複数戸所有して運用していたものの、現金化する必要が出てきて売りに出すケースもあります。
企業の中には、分譲マンションの何戸かを所有して、社宅として使っていることがあります。社屋移転などで必要がなくなった部屋を、まとめてバルク売りにすることもあります。
バルク売りの場合、同じマンションの部屋を1戸だけ買うよりも、1戸あたりの価格が安くなることが一般的です。「大根1本100円、5本まとめて買うと400円」といったセット売りと同じと考えると、分かりやすいでしょう。
割安な価格で購入できるのですから、結果として高利回りが期待できるのです。
さらにバルク売りの場合、売り主側が売却を急いでいることが珍しくありません。そのため、値引き交渉もしやすいことでしょう。
バルク買いのさまざまなメリット

分譲マンションのバルク買いには、ほかにもさまざまなメリットがあります。
分譲マンションは、賃貸用に建築されたマンションよりも、内装や設備のグレードが高い傾向にあります。そのため、賃貸マンションよりも強気の家賃設定ができますし、入居希望者を集めやすいのです。
バルク買いで複数戸を所有すれば、当然のことながら1戸所有よりスケールメリットが大きくなります。賃料収入も多くなりますし、空室リスクも引き下げられます。
1棟所有の場合は管理の手間がかかりますが、分譲マンションは各部屋の所有者で構成された管理組合が管理を担うので、手間がかからないと考えていいでしょう。
さらに、複数戸を所有することで、管理組合での発言権が強くなります。つまり、管理組合の方針を自分が希望する方向にもっていける可能性が高いということです。
出口戦略でも、バルク買いは有利に働きます。1戸ずつバラバラに売りに出すことで、運営状況に合わせて細かく対応できるだけでなく、場合によっては購入金額より高い価格で売却することも夢ではありません。
バルク買いは、分譲マンションの1戸所有と投資用マンションのいいとこ取りをした、ローリスク・ハイリターンの投資対象といえるでしょう。
バルク買いをする際の注意点

メリットの多いバルク買いにも、デメリットはあります。そもそもバルク売りの件数はそれほど多くないので、巡り会えるチャンスが少なくなっています。
またバルク買いでは、同じ分譲マンションの部屋を複数戸所有することになります。別々の分譲マンションの部屋を1戸ずつ購入する複数戸所有より、リスク分散効果は低くなります。
たとえば、バルク買いをしたマンションの立地や管理状況が悪く、入居者が集まりにくい不人気物件だったとしましょう。すると、思ったほど家賃収入が得られないこともあります。
さらに災害が起こった際には、バルク買いで所有した複数戸すべてが被害を受けることも。そういったリスクは、1棟所有の場合と同じです。
バルク買いはローリスク・ハイリターンが狙える投資対象ですが、チャンスを逃さないよう見つけたら飛びつくのはおすすめできません。管理組合の運営方針や、修繕積立金のストック状況、周辺の賃貸ニーズなど、よく調べてから購入を検討したいものです。