投資用物件を購入する前に、チェックしておきたいポイントがいくつかあります。そのひとつが、物件の長期修繕計画がどうなっているかです。
長期修繕計画は、不動産投資にどう関係してくるのでしょうか。チェックすべき理由やポイントについて、詳しくご説明します。
長期修繕計画とは、いったいどんなもの?
長期修繕計画とは、不動産の資産価値を維持するために必要なメンテナンス計画のことです。
どんな物件でも、時間が経てば次第に古びて不具合が出てきます。そのまま放置すると、物件の資産価値はどんどん下がってしまいます。
しかし、適切な時期に適切な修繕を行っていれば、資産価値の下がり方を最小限に抑えられます。そのために作られるのが、長期修繕計画です。
長期修繕計画には、いつ頃どんな修繕を行うのか、その修繕にはどのくらいの費用が必要なのか、修繕費用をどうやって調達するのかといったことがまとめられています。長期修繕計画を見れば、過去にどんな修繕を行ってきたのかも把握できます。
分譲マンションでは、管理組合が長期修繕計画を作成しなければいけないと、国土交通省のガイドラインで定められています。そして多くの場合は、長期修繕計画に従って10~12年に一度の大規模修繕が行われています。
分譲マンションの場合、各部屋の所有者が毎月支払っている修繕積立金を使って、大規模修繕を行うことになります。しかし、修繕積立金だけでは大規模修繕の費用をまかないきれないことも珍しくありません。
その場合、各部屋の所有者から追加の修繕費用が徴収されたり、大規模修繕が延期になったりといったことが起こります。
もし、投資用物件として分譲マンションの購入を考えている場合は、大規模修繕後に購入したほうがお得だといえるでしょう。大規模修繕の直前に購入すると、修繕費用の負担を強いられる可能性もあります。
また大規模修繕はその名の通り、建物の周囲に足場を組むなどして行う大がかりなものです。期間も半年前後かかることが多く、修繕内容によっては1年以上にわたることもあります。
大規模修繕中は物件に対する印象も悪くなりがちなので、入居者募集がうまくいかないこともあるでしょう。ですから、物件を購入する前に長期修繕計画をチェックして、購入のタイミングを考える必要があるのです。
投資用物件の中には、長期修繕計画がないケースも
分譲マンションとは違い、投資用の1棟マンションやアパート、一戸建て住宅には、長期修繕計画作成の義務がありません。そのため、長期修繕計画が作成されていないだけではなく、必要な修繕すら行われていないケースもあります。
マンションやアパートの1棟買いを考えるなら、これまでの修繕履歴のチェックは必須といえるでしょう。定期的な修繕が行われていない物件では、購入してすぐに膨大な修繕費用が必要になることもあります。
また一般的に、物件の築年数が古くなるほど修繕費用もかさんできます。大規模修繕直後のタイミングで購入しても、次に大規模修繕があった際に黒字を維持できるとは限りません。
前回の修繕時期やかかった費用をチェックすることで、いつごろ大規模修繕が必要になるのか、費用はどのくらいかかるのかを推測できることでしょう。それを踏まえて、購入を検討したいものです。
分譲マンションでも、築年数が経って修繕にかかる費用が増えてくると、毎月支払う修繕積立金の額が突然大幅に値上げされることがあります。すると、黒字運用ができていた物件でも、収支が苦しくなってしまうこともあるでしょう。
不動産投資で成功するには、目先の利益だけでなく、将来的な収支を考慮することが欠かせません。長期修繕計画やこれまでの修繕履歴のチェックは、そのために必要なことなのです。