
親が亡くなったことで、親の運用していた投資用物件を相続することがあります。でも物件について何もチェックしないまま相続するのは、あまりおすすめできません。なぜなら、運用状況によっては大きな負債を抱えることになってしまうからです。
投資用物件を相続する前のチェックポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
遺産分割協議の前に確認したい3つのポイント

個人の遺産の中に入居者のいる投資用物件があった場合、遺産分割協議の前に確認しておきたいポイントが3つあります。
1つめは、投資ローンの残高です。すべて返済し終わっているなら何の問題もありませんが、ローンが残っている場合は、相続人に返済義務があります。
故人が団体信用生命保険(団信)に加入していれば、亡くなったことでローン残高が0円となることでしょう。しかし、年齢的な問題などで団信に未加入なことも珍しくありません。
2つめのポイントは、物件の収支です。帳簿を確認して黒字になっていればいいのですが、空室率が高く自転車操業になっていたり、赤字が続いていたりすることもあります。よく調べずに赤字物件を相続してしまうと、投資どころか毎月お金が出ていくことになってしまいます。
3つめのポイントとして、物件の管理状況や、大規模修繕の有無なども確認しておきましょう。たとえば近々に大規模修繕が予定されているにも関わらず、故人が亡くなったことで銀行口座が凍結されているとします。
その状況で大規模修繕を行うには、相続人が一時的に修繕費用を立て替えなければなりません。また、古い物件や空室率が高い物件では、修繕費用を立て替えても回収が難しいことがあります。
もし大規模修繕が予定されていたなら、遺産分割協議が終わるまで修繕を延期したほうがいいでしょう。せっかく大規模修繕をしても、遺産分割協議の結果、売却することになったら、修繕費用が無駄になってしまうこともあるからです。
以上の3点を確認しておくと、遺産分割協議が進めやすくなります。投資ローンの残額や物件の価値、ほかの遺産の内容によっては、相続放棄をしたほうがいいこともあります。
遺産をどうするべきなのか正しい判断を下すためにも、遺産分割協議前に投資用物件をぬかりなくチェックしておきたいものです。
投資用物件を相続するか迷ったら、不動産業者に相談

遺産分割協議の結果、投資用物件を相続することになったら、なるべく早めに相続登記をしておきましょう。
相続登記はこれまでも義務とされていましたが、2024年4月からは相続登記を期限内に終わらせないと10万円以下の過料が科されるようになりました。むだな支出をしないためにも、相続登記はしっかり行いましょう。
その後、管理会社や保険会社、入居者に、所有者が変わったことを連絡します。家賃の振込口座を変更する場合は、オーナー変更の連絡と一緒に新口座を通達すると、二度手間にならずに済みます。
もし遺産の中に赤字の投資用物件があり、相続放棄をするかどうか迷った際には、信頼できる不動産業者に相談してみることをおすすめします。
相続放棄をすると、すべての遺産に対する相続権を失います。遺産の一部だけを放棄するという訳にはいかないのです。
どんなに売れそうにない物件でも、売り方によっては予想より高値で売却できることもあります。売却益でローン完済が見込めるなら、相続放棄するよりお得だといえるでしょう。
また赤字運営が続いている物件でも、経費や運用方法の見直しで黒字化が望めることもあります。そういった相談を受け付けている不動産業者もあるので、まずは問い合わせてみてはいかがでしょうか。