
不動産投資をする場合、誰もが「できるだけリスクを負いたくない」と考えることでしょう。そのために必要なのが「デューデリジェンス」です。
デューデリジェンスとは、投資をするにあたって事前にリスクやリターンを調査すること。不動産投資のデューデリジェンスでは、どんなことをするべきなのか、具体的にご紹介します。
デューデリジェンスをしておく意味

デューデリジェンスは、英語の「Due(当然の)」と「Diligence(努力)」という2つの言葉を合わせた造語です。投資をする前に、どんなリスクがあるのか、どのくらいのリターンが得られるのかを、投資家自身が精査する作業をいいます。
例えば、賃貸用住宅として一戸建てを購入したとしましょう。ところが購入後、入居者から「施工不良のため雨漏りがする」という苦情が上がってきました。
購入したのが新築物件なら、「瑕疵担保責任」といって施工から10年間の補償がついています。瑕疵担保責任を簡単に言うと、メーカーが欠陥品を製造販売したことの責任をとって、無償で修理するということです。
しかし中古住宅の場合、施工から10年以内でも、瑕疵担保責任が免除になっているケースがほとんどです。一度でも誰かが購入して住んだという実績があれば、欠陥品とは考えにくいからです。
瑕疵担保責任が免除になっている中古住宅の場合、ハウスメーカーの施工不良であっても、購入者が自費で修理しなければいけません。購入時に施工不良に気づかなかったばかりに、余分な出費がかかってしまうのです。
こういったリスクを負わないよう、投資家が費用を自己負担して行うのがデューデリジェンスです。アメリカでは当然のように行われているデューデリジェンスですが、近年では日本でもアメリカ式のスタイルを選ぶ投資家が増えてきています。
デューデリジェンスの3つのポイント

不動産投資でデューデリジェンスを行うポイントは、大きく分けて3つあります。「物理的調査」「経済的調査」「法的調査」です。
物理的調査は、物件そのものの瑕疵を調べることです。具体的には、建物の築年数や劣化の度合い、石綿など人体に影響を及ぼす建材が使われていないか、土壌や地下水の汚染はないか、地震や水害などの災害リスクはないかといった点を調査し、管理や修繕にかかるコストを予測します。
経済的調査は、物件の資産価値を調べることです。公示価格や固定資産税評価額、家賃相場や空室率から見た不動産市場での需要、家賃収入と運営維持管理にかかる支出から見た収益性などを調査し、資産としての物件の価値を算出します。
法的調査は、物件の権利関係や契約状況などについて調べることです。所有権はどうなっているのか、これまでの売買履歴にトラブルはないか、隣地との境界について登記と現況に誤差はないか、現在の賃貸借契約の内容に問題や不備はないか、建築基準法などの法令違反はないかといった、法律的な問題点を洗い出します。
不動産デューデリジェンスを行うには、不動産鑑定士や土地家屋調査士、弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士など、さまざまな専門家の協力を仰がなければなりません。当然のことながら、決して少なくない依頼料がかかることでしょう。
デューデリジェンスの具体的な費用は、調査をする物件や依頼先によって大きく変わってきます。簡易的な調査なら20万円程度で済むこともありますが、3つのポイントを徹底的に調査するなら数百万円かかることも珍しくありません。
ただ、不動産投資は大きなお金が動くものです。少しでもリスクを軽減したいなら、保険としてデューデリジェンスを行っておきましょう。