
賃貸マンションやアパートに入居する際、玄関の鍵を渡されます。渡される鍵の数は多くても2本で、1本しか渡されないことも少なくありません。
入居する家族の人数によっては、渡された鍵だけでは足りないこともあるでしょう。その場合、入居者が合鍵を作ってしまっていいのでしょうか。スペアキーを作る際の注意点を知っておきましょう。
合鍵を作るには貸主の許可が必要

賃貸住宅では基本的に、渡された鍵を勝手に複製することはできません。なぜなら、入居者は鍵を預かっているだけで、鍵の所有権も貸主にあるからです。
賃貸物件の貸主は、入居者が安心・安全に暮らせるようにしなければなりません。これは民法第601条に定められた、貸主の義務です。
合鍵の本数が増えるほど、防犯性が下がるといっていいでしょう。入居者が勝手に合鍵を作ってしまうと、貸主が民法で定められた義務を果たせなくなってしまうのです。
しかし、「入居する家族が1人1本ずつ鍵を持ちたい」といった正当な理由で、合鍵が必要なこともあるでしょう。その場合、貸主と物件の管理会社に理由を説明して許可をもらえば、合鍵が作れます。
ただ、「なくした時のためにスペアキーを作っておきたい」など、必要に迫られていない理由では、許可されないこともあります。「勝手に合鍵を作っても、バレないだろう」と思うかもしれませんが、絶対におすすめできません。
賃貸契約書には一般的に、鍵の複製についての項目が盛り込まれています。無許可で合鍵をつくったことがわかると、契約違反に問われてしまいます。
契約違反をした場合、賃貸契約を解除され強制退去を求められても文句は言えません。合鍵程度で強制退去になることはないと思いますが、鍵の交換費用を請求される可能性は十分にあると考えておきましょう。
合鍵を作る際に注意したいポイント

貸主の許可を得て合鍵を作る際にも、いくつか注意しておきたいポイントがあります。まずは、入居者に渡されている鍵がマスターキーかどうか確認しましょう。
合鍵は、ホームセンターやショッピングセンターの合鍵ショップで作れますが、マスターキーからの複製でないと断られてしまうことがあるからです。
複製された合鍵から、さらに複製を作ると、鍵の精度が下がってしまいます。精度の悪い鍵では、鍵が開かない可能性もありますし、鍵のユニット自体が傷ついて開けにくくなることも。
合鍵を作る際には、マスターキーから複製するようにしましょう。入居者に渡されている鍵がすでに複製されたものだった場合は、貸主からマスターキーを借りて合い鍵を作るのがベストです。
マスターキーの多くは、メーカー名と鍵番号が刻まれています。ただメーカーによっては、マスターキーに番号を刻んでないこともあるので、手元にある鍵がマスターキーか複製か分からなかったら、貸主に確認してみましょう。
鍵の複製にかかる料金は、1000~5000円程度が多くなっています。防犯性が高く複雑な鍵になるほど、複製料金も高くなります。
鍵の種類によっては、街のキーショップなどでは複製できないこともあります。その場合は鍵のメーカーに依頼して作ってもらわなければなりませんが、1万円以上の費用がかかることも。
また鍵の複製費用は、入居者が負担することが一般的です。そして、お金をかけて作った合鍵でも、退去時にはすべて貸主に返却しなければなりません。
入居者が入れ替わる際には、玄関の鍵を交換するものですから、合鍵を返し損ねても問題ないだろうと思うかもしれません。しかし、何かトラブルが起こった際には、責任を追求されることもあります。
賃貸物件で生活するには、合鍵が必要になることも多いでしょう。きちんと貸主の許可を得て作り、適切に管理することで、気持ちよく過ごしたいものです。