
初めての不動産投資では、とまどうことも多いことでしょう。試行錯誤しつつも運営が軌道に乗ってくると、「もう少し手を広げてもいいかもしれない」と、投資先のさらなる拡大を考えるかもしれません。
2件目の不動産投資を始める場合、ベストなタイミングとはいつなのでしょうか。見極め方を考えてみましょう。
投資先拡大の前提条件は「1件目が黒字であること」

2件目の不動産投資を始めるに当たって、まずクリアしておきたい条件があります。それは「1件目のキャッシュフローが常に黒字状態になっていること」です。
投資先を拡大すれば、入ってくる家賃収入が増えます。さらに空室リスクも軽減できるので、運営が楽になることでしょう。
そのため、1件目の運営がうまくいっていないからと、リカバリー目的で2件目の物件購入を考える人がいます。これは絶対におすすめできません。
1件目の運営が不調だと、金融機関からの追加融資のハードルが上がってしまいます。何とかローンが組めたとしても、金利を高めに設定されるなど不利な条件での融資となることでしょう。
1件目が常に黒字運営となっていれば「経営手腕がある」と判断され、追加融資の審査が通りやすくなります。高額の投資ローンを組んで、よりよい条件の投資物件を購入することも夢ではありません。
赤字にはなっていないものの、2~3ヵ月の空室でローン返済が苦しくなってしまう状況なら、投資先の拡大は控えたほうがいいでしょう。その状態では、突発的に起こるトラブルやリフォームの費用負担に耐えられません。
不動産投資では、1件目の投資で得た収益を2件目の投資に回すことで、より大きな収益を生み出す「複利効果」があります。これを繰り返すことで、効率よく資産が増やせることでしょう。
一方、投資先を拡大することで、ローン返済額そのものは増えてしまいます。物件の管理は管理会社に一任するとしても、管理費や修繕費の負担も増えるので、運営の手間がかかるというデメリットもあります。
ですから、1件目が堅実に運営できていないなら、まずは黒字運営を目指すべきです。場合によっては、売却や買い換えも視野に入れて考えましょう。
2件目の購入を考えるベストなタイミング

1件目の投資用物件が黒字運営できているとして、2件目の物件購入はいつがベストなのでしょうか。それには2つの時期が考えられます。
ひとつは、1件目の投資ローンを完済したタイミングです。できるだけローリスクで不動産投資を行うなら、ローン完済後の2件目購入がベストといえるでしょう。
1件目の投資ローンを完済していれば、1件目の家賃収入をそのまま2件目のローン返済にあてられます。2件目の家賃収入が丸ごと収益になりますし、2件目のローン返済も早められることでしょう。
もうひとつは、1件目の物件がデッドクロスを迎えるタイミングです。デッドクロスとは、ローンの元金返済額が建物の減価償却費を上回ってしまう状態をいいます。
デッドクロスを迎えると所得税の負担が増すため、最悪の場合は黒字倒産という事態も考えられます。そのためデッドクロスを迎える前に、資産の組み替えをして対策をとっておかなければなりません。
1件目をデッドクロスとなる直前に売却し、2件目の物件を購入すれば、再び減価償却費を計上して節税しながら資産拡大ができることでしょう。
1件目を売却せず保有しておく場合にも、黒字幅が小さくなることは覚悟しておかなければなりません。しかし、2件目の購入で不動産投資の複利効果が得られれば、収益を確保できることでしょう。
物件の購入時には、さまざまな諸費用がかかるものです。2件目の物件を購入しても、すぐに収入が増えるわけではありません。
ですから、ある程度の資金的な余裕をもった上で、2件目を購入したいものです。目安としては、2件目の価格の1割と考えるといいでしょう。
また、1件目の運営が成功したからといって、2件目も成功するとは限りません。さまざまな視点から熟慮して、2件目の購入に踏み切りたいものです。