
住み替えや転勤などで、長年住み慣れたマイホームを売却することがあります。その際、「床や壁に傷があると価格が下がるのでは?」と気にする人が少なくありません。
愛着のある家ですから、できる限り高い金額で売りたいと思うのも当然ですが、床や壁の傷は売却価格に影響するのでしょうか。その答えをお教えします。
経年劣化による傷は、売却価格に影響しない

結論から言うと、床や壁に傷があっても、査定価格にはほとんど影響しません。その理由は、床や壁は住んでいるうちに経年劣化するものだからです。
どんなにていねいに暮らしていても、生活をしている以上、壁や床は傷ついてしまいます。査定をする不動産業者も、中古住宅を購入しようとする人もそれを分かっているので、売却価格には影響しないのです。
また中古住宅の購入希望者は、購入後にリフォームをしてから入居しようと考えているケースも少なくありません。売り主が「少しでも売却価格を上げたい」と思って補修などを行っても、ムダになってしまう可能性が高いでしょう。
しかし傷の中には、売却前に補修したほうがいいものもあります。それは腐食による変色や凹みです。壁や床が腐食していると、明らかな瑕疵として売却価格を下げる原因になってしまいます。
ただ腐食がある場合、補修するにも少なくない補修費用がかかることでしょう。腐食の範囲にもよりますが、数十万円単位の補修費用を覚悟しなければなりません。
腐食部分を補修する前に、売却半額の下落幅と補修費用を比べて、よく検討する必要があります。判断がつかない場合には、査定を行う不動産業者に相談してみるのもいいでしょう。
ほかにも補修したほうがいいタイプの傷があります。それは、壁の複数ヵ所に殴ったような穴がある、カッターナイフで床を何度も切りつけたなど、故意につけられた傷です。
「故意に傷つけた」と感じられる傷があると、買い主は売り主に対して病的なイメージを抱いてしまいます。家に対する印象もマイナスになるので、早期売却が難しくなることも。
たとえ故意につけていなくても、誤解されそうな傷がある場合は、補修しておいたほうがいいでしょう。
補修やリフォームよりクリーニングがおすすめ

補修やリフォームにお金をかけるよりも、売却前にハウスクリーニングをしておくことをおすすめします。クリーニングをしても査定価格は変わりませんが、そのほかのメリットが得られます。
ハウスクリーニングをした清潔感のある家のほうが、購入希望者もいい印象を抱くことでしょう。すると、購入希望者がより多く集まる可能性があります。
購入希望者が多くなれば競争率が上がるので、「ほかの人に購入されないうちに」という心理が働き、早期売却が期待できます。同時に値引き交渉もされにくくなるのです。
ハウスクリーニングをするポイントとしては、キッチン・浴室・リピングの床がおすすめです。油汚れがつきやすいキッチン、カビが生えやすい浴室、広くて目立つリビングの床がきれいだと、購入希望者に与える印象が大きく変わります。
少しでも節約したいなら、自力でクリーニングするのもいいでしょう。業者に依頼するなら、査定を行う不動産会社に紹介してもらうことをおすすめします。
ハウスクリーニング業者のごく一部ではありますが、料金のわりに効果が上がらない業者も存在します。不動産会社は常日頃からハウスクリーニング業者と取引しているので、質の高い業者を紹介してくれることでしょう。