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2022年春から始まった円安は、2024年現在も収まることなく、1ドル150円前後の状態が続いています。

円の相場はさまざまな業界に影響を与えますが、円安になると不動産売買はどう変化するのでしょうか。円相場と不動産の関係について、大まかなところを押さえておきましょう。

円安・円高とはどういう状態を指すのか?

まずは「円安」「円高」という言葉の意味から説明しましょう。円安とは、海外のドルやユーロといった通貨と日本の通貨である円の価値を比較して、円の価値が下がっている状態のこと。円高はその反対で、日本円の価値が高い状態をいいます。

たとえば、今までは1ドル=100円だったのが、1ドル110円になったとします。同じ1ドルと交換するのに、今までは100円で済んでいたのが110円かかるようになったのですから、円の価値が下がったといえます。これが円安です。

実は「1ドルが○○円になったから円安」「1ユーロが○○円になったから円高」といった明確な基準はありません。これまでの期間と比べて、安いか高いかを判断して「円安」「円高」と言っているだけです。

ここ10年の変化を見ると、2021年までは1ドル年100110円でした。ところが2022年春から急激に円安になり、20242月現在は1ドル150円前後と、約30年ぶりの円安となっています。

現在の円安状態になった主な原因は、アメリカの金融政策です。2022年まではアメリカも日本と同じく、金利を引き下げて景気をよくする金融政策をとってきましたが、景気がよくなって物価が上がってきたことから、金利を上げて金融を引き締める政策に変更したのです。

アメリカが金融引き締め政策をとったことで、ドルの価値が上昇すると予想されました。そのため、各国の通貨を売り買いして利益を得る投資家が、円を売ってドルを買うようになり、円の価値が下がってしまったのです。

円安が不動産業界に与える影響

では、円安が不動産業界にどんな影響を与えるのか見てみましょう。

円安になると、海外製品を購入するためには、今までよりも多くの日本円が必要になります。つまり、海外から輸入する物の値段が上がるということです。

家を建てるための建築材にも、海外から輸入した木材や金属が使われています。建築材を運搬するにしても、日本はガソリンのほぼすべてを輸入に頼っています。

建築材や運搬費が上がれば、当然のことながら建築にかかる費用も高くなり、結果として不動産の価格も値上がりしてしまうのです。

円安は、住宅ローンにも影響を与えます。輸入品が高くなり、運搬費もかかるようになれば、国内生産の製品も価格を上げないと儲けが出なくなってしまいます。すると物価が上昇するので、金利も高くなってしまうのです。

不動産投資では、円高で不動産価格が安くローン金利も低い時に購入して、円安で不動産価格が高くなったら売るのが基本とされています。つまり現在は、不動産を売りたい人がたくさんいる状態と言っていいでしょう。

すでに不動産価格や住宅ローンの金利は、上昇傾向にあります。現在、不動産の購入を考えている人には少々つらい状況かもしれません。

ただ、売りたい人がたくさんいれば、早く処分するために値下げをするケースも出てきます。今後も円安が続いてローン金利が上がる可能性を考えると、今のうちに手頃な物件を見つけて購入したほうがいいともいえます。

すでに投資用不動産を持っているなら、円安で物価が上がった時が家賃アップの狙い目です。入居者の負担は上がってしまいますが、物価の上昇に伴う値上げなら納得してもらいやすくなります。

ひとつ気をつけておきたいのは、土地の値段は円安・円高の影響を受けにくいこと。土地だけなら建築費や運搬費がかかることがないので、価格は変わらないと考えておきましょう。

現在の円安の主な原因は、アメリカの金融政策といいました。しかしそれ以外にも、ロシアのウクライナ侵攻により物流が世界規模で影響を受けていることなど、さまざまな要因が絡んでいます。

国内の状況だけでなく世界的な経済動向を見ることで、不動産売買のリスクはより引き下げられることでしょう。

 

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