
一戸建ての中古住宅を売却する場合、不動産業界ではよく「注文住宅より建売住宅のほうが売りやすい」といわれます。実はこれ、本当のことなのです。
そして中古住宅を購入する場合も、注文住宅より建売住宅のほうがおすすめといえます。どうしてなのか、その理由をお話ししましょう。
中古住宅市場では、建売住宅のほうが買い手がつきやすい

一戸建ての住宅には、建売住宅と注文住宅があります。建売住宅は、開発業者が新築の家を土地とセットで販売したもの。注文住宅とは、所有している土地に自由に設計・建築をした家のことです。
建売住宅は完成した状態で販売されるので、どんな人が購入するか分かりません。そのため誰でも住みやすさを感じられるよう、万人向けの間取りやデザインになっています。
対して注文住宅は、建てた人の好みやこだわりを反映した家です。個性が強ければ強いほど、好みの方向性が合致する人は少なくなることでしょう。
何らかの理由で住んでいた家を売却する場合、建売住宅は万人向けの間取りやデザインから、幅広い層にアピールできることでしょう。しかし注文住宅はマーケットが狭いため、売りにくい家となってしまうのです。
また注文住宅は、建材などにもこだわりを反映した結果、建築費も建売住宅より高くなりがちです。売却する際にも建築費を考慮して値付けすると、「中古住宅なのに高い」と敬遠される結果になってしまいます。
ほかにも、建売住宅のほうが注文住宅よりも売却に有利なポイントがあります。それは、土地の境界線にまつわるトラブルが少ないことです。
建売住宅は、開発業者が土地をきちんと測量した上で分割し、家とセットで販売することがほとんどです。そのため、隣地との境界線トラブルが起こることはまずありません。
注文住宅で、両親や祖父母の代から持っている土地に家を建てた場合、土地の境界線が曖昧なままになっていることも珍しくありません。売却前に測量の手間がかかる、売却後に境界線トラブルが発生するといったこともあるため、売りにくいといわれてしまうのです。
中古住宅を購入する場合も、建売の中古住宅がおすすめ

中古住宅の購入を希望する人にとっても、注文住宅より建売住宅のほうがおすすめといえます。その理由は、建売住宅のほうが修繕やリフォームにかかる費用を抑えられることが多いからです。
建売住宅は販売価格を抑えるため、建具や住宅設備に大量生産された普及品を使っていることが多くなっています。そのため不具合が起こって修繕となった際にも、修理部品や代替品が安価で手に入りやすいのです。
注文住宅は、住宅性能としても建売住宅より高いことが多く、その分、修理部品も高価になりがちです。既製品ではなくオリジナルの建材を使っているケースもあり、市販品での修理ができないケースも珍しくありません。
どんな家でも住み続けていれば、次第に古びて不具合が出てくるものです。特に中古住宅は、購入してすぐに不具合が出る可能性もあるので、家の維持費を考えるなら建売住宅を選んだほうがいいでしょう。
建売住宅のデメリットは、ひとつのエリアをまとめて開発することが多いため、周囲に似たようなデザインの家が建ち並んでいることでしょう。中古住宅を購入する際、家で個性を出したいと思うなら、注文住宅を選ぶことをおすすめします。
中古の注文住宅を売却しやすくする方法

注文住宅を売却しようと思っても、間取りやデザインが万人向けではなく、価格も高くなりがちなため、買い手がつきにくい傾向があります。
特に二世帯住宅は、そもそものニーズが少ないため、売却に何年もかかることも珍しくありません。スムーズに売却したいと思うなら、まず価格を下げることを考えましょう。
注文住宅を売却する際、不動産会社などに査定を依頼すると、驚くほど安く査定されてしまうことがあります。多額の建築費をかけたこだわりの家であっても、そのスペックは市場から求められていないということなのです。
さらに二世帯住宅は、家のサイズそのものが2世帯分なので大きく、高額になりがちです。ただ価格を下げただけでは、買い手が現れないこともあるでしょう。
家の中が完全に仕切られた二世帯住宅なら、シェアハウスとして売却する方法もあります。売却そのものを諦めて、賃貸住宅として2世帯に貸し出すのもいいでしょう。
水回りなどが共用となっている二世帯住宅は、中を仕切って各世帯に水回りの設備を設置するリフォームを行い、完全二世帯住宅にしたほうが買い手がつきやすくなります。
住んでいた家を売却するとなると、思い入れもあって安く売り払いたくないという気持ちもあるでしょう。しかし中古住宅の売却では、市場のニーズを考えることが大切です。