遠方の不動産を相続した場合、登記手続きはどこでする?
2023年12月18日
現在住んでいる場所から遠く離れたところにある不動産を相続することになった……。こういうった事態は、決して珍しくありません。
遠隔地の不動産を相続した場合、相続登記をするためには現地に行かないとならないのでしょうか。詳しく解説します。
相続登記に限らず、すべての不動産登記は、不動産がある場所を管轄している法務局に申請する必要があります。相続した不動産が遠方にあった場合は、基本的に現地に足を運んで手続きをすると考えておきましょう。
「ネットで申請できないの?」と思う人もいることでしょう。たしかに2005年の不動産登記法改正で、登記業務のオンライン化が認められ、「登記ねっと」と呼ばれるシステムが整えられました。
しかし登記ねっとは、すべての登記手続きに対応しているわけではありません。その理由は、手続きに必要な書類にあります。
相続登記をする場合、亡くなった人や相続人全員の戸籍謄本を申請書と一緒に提出します。しかし2023年12月現在、戸籍はまだ電子化されていません。
つまり、登記ねっとで相続登記の申請をしても、必要な書類を添付できないのです。そのため登記ねっとでオンライン申請を行った後、必要な書類をそろえて郵送するか、現地に持参する必要があります。
相続登記で必要になる戸籍謄本などの書類は、すべて「本当に公的な書類なのか」「いつ誰が作成したものなのか」が証明されていなければなりません。
役所で発行された紙の戸籍謄本を見ると、必ず「戸籍に記載されている事項の全部を証明した書類です」という文言と、発行年月日が書かれていて、公式の印鑑が押されていることからも分かるでしょう。
すでに電子化されている公文書には、紙で発行したものと同じように電子署名が付けられています。電子署名は偽造や変造ができないように、さまざまな対策がとられています。
紙の戸籍謄本を個人的にスキャンして電子データを作ったとしても、本当に公的な書類なのかを証明できないので、登記の申請には使えないのです。
相続した不動産が遠隔地にある場合、自分で登記申請するよりも、司法書士に依頼したほうがいいでしょう。
登記ねっとを利用して相続登記の申請をする場合、まず専用のソフトをパソコンにインストールする必要があります。それだけでも手間がかかると感じる人もいることでしょう。
さらにその後、必要な書類を郵送しなければなりません。もし書類に不備があったら、何度も郵便でやりとりをすることになり、時間も手間もかかってしまいます。
現地に足を運んでの手続きは、時間と手間だけでなく旅費もかかります。現地まで行って「持参した書類に不備があった」となれば、目も当てられません。
司法書士に依頼すれば、相続人が把握していない不動産の共有持分や抵当権などがないかも調査してもらえます。不動産の相続に関する不備やトラブルを防げるのは、手続きがスムーズにいく以上のメリットでしょう。
遠方にある実家の不動産を相続してしまった、両親が持っていた遠隔地の別荘を相続してしまった、といった時には、司法書士に相談することをおすすめします。
2024年4月からは、相続登記が義務化されます。手続きを怠って罰則を受けることのないよう、不動産の相続があった場合は、なるべく早く相続登記をしておきましょう。