絶対にしてはいけない!滞納家賃の回収方法
2023年12月01日
不動産投資で起こりがちなトラブルとして、入居者による家賃の滞納があります。放置しておくと、滞納が次第に膨らんでいって、回収がより難しくなってしまうことも珍しくありません。
しかし請求方法を間違えると、物件オーナー側が法律違反に問われることが。どんな請求方法が問題になるのか、具体的にご紹介します。
滞納家賃の督促ができるは、基本的に物件オーナーのみ
入居者による家賃滞納があった場合、「管理会社が請求して取り立ててくれるのだろう」と思っている物件オーナーもいることでしょう。しかし法律上では、管理会社が滞納家賃の回収をしてはいけないことになっているのです。
滞納された家賃の回収業務は、法律でいう「債権回収」にあたります。債権回収ができるのは物件オーナーと、代理人となる弁護士や司法書士、国が認可した債権回収専門業者のみで、それ以外の人や組織が行うと法律違反になってしまうのです。
管理会社ができるのは、家賃が未納だった入居者に「入金されていませんよ」と文書などでお知らせすることまでです。入居者との交渉や督促など、実際の回収業務はできません。
賃貸借契約を結ぶ際、入居者が家賃保証会社と契約をしていれば、滞納があった際も家賃保証会社が入居者の代わりに支払ってくれます。入居者からの取り立ては家賃保証会社が当事者として行うので、オーナー側が回収する必要はありません。
家賃保証会社と契約していない場合は、物件オーナーが自力で回収するか、弁護士、司法書士、債権回収専門業者に依頼して回収しなければならないのです。では、滞納家賃を自力で回収する際に、してはいけない方法について見てみましょう。
法律違反に問われる滞納家賃の回収方法
滞納家賃の督促方法として最初に思いつくのは、電話での督促ではないでしょうか。電話で督促する場合、早朝や深夜に電話をかけることは法律で禁じられています。
とはいえ、昼間は仕事に出ていて電話が通じないという入居者も多いことでしょう。だからといって勤務先に電話をするのも、法律上は認められていません。
賃貸借契約の際に連帯保証人を立てているケースでは、連帯保証人に電話をすることもあるでしょう。その際に注意すべきは、連帯保証人の家族に対して請求してはいけない、ということ。
家賃の滞納は、いわば借金です。借金をしているという事実は個人情報に属することなので、借金をしている当人や保証人本人以外に知られるような事態になると、名誉毀損に問われてしまうのです。
名誉毀損は、その人の社会的な評価や信用を落とすような行為をすること。たとえ事実であっても。言いふらしたことで社会的な評価が損なわれれば、罪に問われてしまいます。
昔は、家賃の滞納があった際に玄関ドアに貼り紙をするといった請求方法がありました。これも名誉毀損に当たるので、現在では絶対にしてはいけない請求方法のひとつです。
同じように以前はあった請求方法として、住人の持ち物を差し押さえる、玄関ドアの鍵を交換してしまうといったことがありました。これも、法律上の手続きを踏んだ上で行わないと、すべて刑事責任を問われると考えておきましょう。
じつは現在でも、家賃を滞納した入居者を実力行使で追い出すような違法業者は存在します。そういった業者だと知らずに、物件オーナーが家賃回収を依頼してしまうこともあるかもしれません。
その場合、実力行使をした違法業者だけでなく、オーナーまでも罪に問われることが。家賃回収を依頼する際には、法務大臣許可番号を確認するといつた方法で、国から認められた正当な組織なのかチェックしましょう。
また家賃滞納があった際には、管理会社や物件を仲介した不動産業者が、違法な請求方法をとっていないか確認する必要もあります。
そもそも管理会社や不動産業者には、家賃回収業務が認められていないといいました。管理会社や不動産業者が回収業務を行ってしまうと、物件の管理や仲介を委託したオーナーの責任が問われることもあるのです。
物件オーナーにとって家賃の滞納は、収入に直結する大きなトラブルです。家賃保証会社と契約していない場合は、家賃滞納が発生した時点で弁護士など法律の専門家に相談して、違法な督促を行わないよう注意したいものです。