賃貸運営でありがちなクレームと対処法
2023年11月27日
投資用物件を運営していく上で、入居者からのクレーム対応は重要なポイントです。対応を誤ってしまうと、さらなるクレームにつながって、解決がより難しい事態になってしまいます。
入居者からのクレームのうちありがちなものと、その対処法についてご紹介します。
設備関係のクレームは専門業者に依頼する
賃貸物件で、入居者からよく出るクレームとして「騒音」「設備不良」「ゴミ出しのルールが守られていない」「迷惑駐車」があります。このうちの騒音については、「エアコン室外機の稼働音が気になる」「排水溝からボコボコという異音が聞こえる」といった設備関係の音と、ほかの入居者が立てる音の2つに分けられます。
住宅設備からの騒音や不具合に関しては、メンテナンスや修繕を行えば解決する問題がほとんどです。修繕費用はかかりますが、対応が簡単なクレームといっていいでしょう。
住宅設備のクレームに関しては、なるべく早く専門業者に依頼してメンテナンスすることをおすすめします。結果としてあまり改善されなくても、対応が早かったこと、故障ではなかったと分かることで、入居者に納得してもらえるケースもあります。
そのほかの、入居者による騒音、ゴミ出しのルール、迷惑駐車といったクレームは、いずれも入居者同士のトラブルといえます。
入居者同士のトラブルは対応が難しく、注意してもなかなか改善されないことも少なくありません。かといって放置していると、入居者が居着かなくなってしまいます。
さらに「ルールを守らない人がいるんだから、こちらもルールを守る必要がない」と考える入居者が増えて、建物全体の雰囲気が荒れてしまうことも。こうなると物件の資産価値も下がってしまいます。
では入居者トラブル関係のクレームには、どう対応すべきなのでしょうか。
入居者トラブルには冷静かつ毅然とした対応を
入居者による騒音、ゴミ出しのルールを守らないといった、入居者トラブル関係のクレームを解決するには、まず原因となっている入居者を突き止めることです。場合によっては、深夜に現地に行って確認しなければならないこともあるでしょう。
ゴミ出しのルールが守られていない、迷惑駐車があるといったクレームなら、共用部に監視カメラを取り付けるのもひとつの方法です。監視カメラの存在を入居者に周知するだけで、トラブルが収まることもあります。
クレームの原因となっている入居者が分かったら、口頭や文書で注意します。ただ、文書で注意する場合には、内容がほかの入居者の目に触れないよう、郵便ポストやドアポストに投函しましょう。
部屋番号や氏名を明記して掲示板で警告する、注意の文書をドアに貼り付けるといった行為は、名誉毀損に問われることもあります。絶対にしてはいけません。
口頭や文書の注意で改善が見られなかった時は、内容証明郵便で警告します。
内容証明郵便は、1枚に書ける文字数や書式が決まっています。管理会社が入っているなら、内容証明郵便の書き方にも慣れているはずなので、相談してみるといいでしょう。
内容証明郵便は、法律的な効力があるわけではありません。しかし、受け取った入居者側としては心理的な圧力があるため、この段階で改善されることも多くなっています。
また内容証明郵便は、「配達証明」付きで発送することをおすすめします。内容証明郵便は、郵便局が「書かれた内容」と「発送したこと」を証明してくれるものですが、相手が受け取ったかまでは保証してくれません。
配達証明を付けていれば、相手が受け取ったことを確認できます。これは、注意した・聞いていないといった水掛け論になるのを防ぐためです。
内容証明郵便を発送しても改善されない場合は、最終的に賃貸契約の解除を裁判所に申し立てることになります。その際に内容証明郵便は、「注意しても改善されなかった」という証拠になります。
内容証明郵便の発送や裁判所への申し立ては、基本的に物件のオーナーにしかできません。ただ、裁判までもつれ込んだ際のことを考えて、内容証明郵便を作成する段階から弁護士に依頼しておくと安心です。管理会社には顧問弁護士がいるはずなので、その弁護士に依頼するか、依頼先を紹介してもらうといいでしょう。
クレーム対応は迅速に行うべきですが、なるべく早く解決しようと焦って手段を間違えたり、強攻策に出たりすると、別のトラブルを招いてしまうことも。管理会社とよく相談して、冷静かつ毅然とした態度で臨むようにしたいものです。