投資用物件を購入する前に知っておきたい市場規模

 

市場性とは、ごく簡単に言うと「ニーズがあるかどうか」ということ。不動産投資では「入居希望者が多いか少ないか」を指します。

投資用物件を購入する前には、必ず市場性の調査をしておきたいものです。購入予定の不動産がオーナーチェンジ物件であっても、それは変わりません。

オーナーチェンジ物件はすでに入居者がいる状態ですが、どんな入居者でもいずれは退去するもの。市場性の調査をしておかないと、空室ができた時に新たな入居者が見つかるか、判断がつかないからです。

市場性を判断するためには、まず投資の目的をはっきりさせておくことが重要です。

不動産投資の目的としては、「安定的な収入を得たい」「収益はそれほど多くなくていいので、将来的な資産として持っておきたい」「税金対策をして節税したい」などが挙げられるでしょう。そして目的によって、どんな物件が適しているかも変わってきます。

例えば「安定的な収入を得たい」というなら、転居率が高いワンルームマンションよりも、長期的な賃貸契約が望めるファミリー向け物件のほうが向いています。これは以前のコラムでも解説しているので、ぜひご参照ください

「不動産投資の目的によって、物件選びのポイントは変わる」

ところが、ファミリー向け物件を購入したとして、周辺が工業地帯や繁華街だったらどうでしょうか。家族で住む場合、子育てに向いているかを重要視する入居者が多いので、入居希望者がなかなか現れない可能性が出てきます。

しかし工業地帯や繁華街にある物件でも、ワンルームマンションなら工場の従業員や若者の入居が見込めます。つまり、同じ場所にある物件でも、タイプによってニーズがあるかどうかは変わってくるのです。

投資の目的によって、選ぶべき物件のタイプも変われば、市場性の判断ポイントも違ってきます。そのため、まずは投資の目的をはっきりさせる必要があるのです。

市場性を判断するための市場調査は、どのように行えばいいのでしょうか。ポイントは4つあります。

ひとつは、地域のマーケット規模。国や地方自治体の統計サイトを見れば、これまでの人口の推移や増減の傾向、世帯数の動向といった人口動態が分かります。

単身世帯が多いのか、2人以上の一般世帯が多いのかが分かれば、どういったタイプの物件が求められているのかも判断できることでしょう。そしてこれまでの人口推移と合わせて、中長期的なニーズを判断します。

2つめは、周辺地域の賃貸状況の確認です。物件紹介のポータルサイトなどで、地域の賃貸物件を検索してみるといいでしょう。

購入予定の物件と同じ築年数のもの、駅からの所要時間が同じ部屋、同じ間取りや設備の物件など、条件を変えて検索してみてください。購入予定の物件の長所や欠点、期待できる収益などが見えてくることでしょう。

3つめは、立地や周辺環境のチェックです。どんなに優れていると思える物件でも、周辺環境が今ひとつだと入居希望者が集まりません。

駅からの所要時間はもちろんのこと、最寄り駅からターミナル駅までの経路や時間もチェックしておきたいものです。周辺の公共施設や学校・病院、日用品の購入店舗などは、移転や閉店などの予定がないかも調べておきましょう。

さらに、裏が崖地になっている、海抜が低い、接している道路の交通量が多いといった物件も、不人気になりやすいといえます。できれば実際に現地に足を運んで、自分の目で確かめてみるのがいいでしょう。

4つめは法律や条例の確認です。物件のある地域によっては、条例などでリフォームや建て替えが制限されていることもあるので、建築や都市計画にまつわる法令は確認が必須といえます。

また、日常生活でのルールがどうなっているのかも調べておきたいもの。例えばゴミの分別が厳しい地域は、単身世帯に不人気な傾向があります。

これらのポイントを踏まえて市場調査を行い、購入予定の物件の市場性を判断すれば、不動産投資で失敗するリスクを低くできることでしょう。