近年登場した定額制マンション修繕サービスとは?
2023年10月25日
近年注目されている「定額制マンション修繕サービス」をご存知でしょうか。投資用物件として1棟マンションを所持しているオーナーにとっては、非常に便利なサービスとなっています。
どんなサービスなのかご紹介するとともに、メリット・デメリットを見てみましょう。
定額制マンション修繕サービスは修繕費の積み立てサービス
マンションは、定期的に修繕をしないと不具合が出て、資産としての価値も落ちてしまいます。しかし高額な修繕費がかかることも多く、オーナーにとっては大きな負担になることも、
そういったマンションオーナーの悩みに答えるべく登場したのが、定額制マンション修繕サービスです。毎月決まった金額を支払うことで、適切な時期にマンションの修繕を行ってもらえるので、マンションの資産価値を保つことができます。
定額制マンション修繕サービスを行っている業者はいくつかあります。標準的なサービス内容としては、契約時に物件の状態を確認して長期的メンテナンス計画を立案。それに沿って、契約期間内の適切な時期に修繕を行うという形になっています。
マンションは5~10年ごとに、屋根・外壁・バルコニーの防水塗装、エントランス・共用廊下・階段の補修、手すりなど金属部分の塗装、給排水管メンテナンスなどの修繕が必要になります。マンションの状態によっても異なりますが、費用は1戸あたり約30~50万円で、大規模なマンションほど修繕費も高額になります。
いざ修繕が必要となった際にオーナーの手元資金が足りないと、これまでは修繕ローンなどで用意するしかありませんでした。しかし定額制マンション修繕サービスをすれば、手元資金がなくても適切が修繕を行うことができるのです。
定額制マンション修繕サービスは、マンションの大規模修繕に備えるための積み立て、と考えると分かりやすいでしょう。マンションオーナーにとっても、一気に大きな資金を動かさなくていいので、キャッシュフローが安定するというメリットがあります。
定額制マンション修繕サービスのデメリット
定額制マンション修繕サービスが初めて登場したのは2020年のことですが、すでに同様のサービスを行う業者が何社か登場しています。しかし提供されるサービス範囲が業者によって異なるので、契約をする前によく比較検討しましょう。
例えば、契約時に立案したメンテナンス計画の内容しか行わない業者もあれば、定期的な点検を行い、必要な修繕は随時行ってくれる業者もあります。さらに、雨漏りや水漏れなど緊急時の対応まで受け付けるといったサービスを行っている業者もあります。
また契約期間内に物件を売却することになった場合、どういった対応になるのかもチェックしておきたいものです。業者によっては、今までに支払った金額から実際の修繕にかかった金額を差し引いて、返金してくれるといった良心的な対応をしてくれます。
マンションオーナーにとっては至れり尽くせりと感じられる定額制マンション修繕サービスですが、もちろんデメリットもあります。
ひとつは、築浅マンションなど建物の状態が良好な場合はメリットが少ないこと。定額制マンション修繕サービスは、10~15年といった長期的な修繕に対応するものなので、修繕時期が来る前に売却してしまえば契約しておく意味がありません。
同じように、マンションを長期間保有せず、短期での売却を予定しているオーナーにとっても、旨みが少ないといえるでしょう。特に、契約解除の際に返金が受けられない業者だと、毎月支払っていた金額が無駄になってしまいます。
また、築古物件で建物の状態が悪く、定額制マンション修繕サービスを契約してすぐに修繕が必要なケースでは、契約時に別料金を請求されることがあります。定額制マンション修繕サービスは一種の積み立てですから、支払った金額が少ない契約初期の状態で修繕を行うと、業者にとって原価割れとなってしまうためです。
定額制マンション修繕サービスは、建物の修繕費用というオーナーの負担を軽減し、マンション運営を手助けしてくれる便利なものです。ただし契約する際には、サービス内容のチェックだけでなく、所有マンションの状態や保有計画まで含めて考えたほうがいいでしょう。