「アパート」と「マンション」はどう違うのか?
2023年09月29日
不動産広告を見ていると、同じ集合住宅でもアパートと書かれている建物と、マンションと記されている建物があります。
アパートとマンションは、どんな違いがあるのかご存知でしょうか。今回は、アパートとマンションという名称の違いにスポットを当てていきます。
アパートとマンションに法律上の違いはない
実は、アパートとマンションの定義について、法律的な規定はありません。建築基準法や宅地建物取引業法といった不動産に関する法律では、どちらも同じ「共同住宅」として扱われています。
強いていうなら、マンション関連3法と呼ばれる「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(マンション建替え円滑化法)」「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化推進法)」で規定される物件が、法律上でのマンションということになるでしょう。
しかしマンション関連3法は、いわゆる分譲マンションについての法律です。それ以外の物件はアパートであるとするならば、賃貸マンションはアパートということになってしまいます。
では、不動産広告ではアパートとマンションをどのように区別しているのでしょうか。その根拠は、建物の構造にあります。
一般的に、木造・軽量鉄骨造の建物はアパート、鉄骨造・鉄筋コンクリート造の建物ならマンションと呼ばれています。不動産会社は、登記簿に書かれた建物の構造を確認して、アパートかマンションか判断して表記しているのです。
アパートとマンションの基準は不動産会社によって異なる
アパートとマンションは、法律上の区別はないといいました。そのため、不動産会社や不動産情報サイトはそれぞれ独自の基準を設けています。
多くは先に挙げたように、木造・軽量鉄骨造ならアパート、鉄骨造・鉄筋コンクリート造の建物ならマンションと広告していますが、一部の不動産会社や不動産情報サイトでは違っているのです。
アパートとマンションでは、何となく「マンションのほうが高級」というイメージを持つ人も多いことでしょう。少しでも人目を引くために、「アパートではなくマンションとして広告してほしい」というアパートのオーナーも決して少なくありません。
オーナーからの要望に加えて、近年は建築技術も向上してきました。その結果、「軽量鉄骨造でも一定の条件を満たせばマンションと表記する」という独自基準を定めた不動産情報サイトも出てきています。
法律上ではアパートとマンションの区別はないため、木造集合住宅に「××マンション」という名前をつけても罰せられることはありません。イメージをよくするためか、コーポ、ハイツ、メゾン、カーサ、レジデンスといった、アバート・マンション以外の名称を持つ建物も無数にあります。
さらに、不動産広告の表記基準も一定ではないのですから、広告を見て建物の構造を判断するのは難しいといえます。物件を選ぶに当たって建物の構造が気になる場合は、物件を取り扱っている不動産会社に問い合わせてみるのがいいでしょう。