同棲やルームシェアなど他人同士が住む場合の、賃貸借契約での注意点
2023年09月27日
同棲やルームシェアには、一人暮らしをするより家賃を低く抑えられるといった利点があります。しかし、賃貸借契約のしかたによっては、後々トラブルが起こってしまうことも。
他人同士が一緒に住む場合の、賃貸借契約で気をつけておきたい点について解説します。
他人同士の同居は、あまり歓迎されない
同棲やルームシェアなど、他人同士が同じ家に住むことを認めてくれる賃貸住宅は、実はそれほど多くありません。なぜなら家賃トラブルに繋がりやすいからです。
例えば友人2人がルームシェアをして、家賃を折半していたとしましょう。仲違いをして1人が出て行ってしまうと、残った1人が家賃全額を負担しなければなりません。すると、払いきれずに家賃を滞納するリスクが出てきてしまいます。
恋人や友人は、法律的には何の縁もない他人同士なので、仲違いすれば簡単に縁が切れてしまいます。そのため、万が一の際に家賃が回収できなくなる可能性が高いと見なされてしまうのです。
一方、親子や兄弟姉妹、親戚同士なら、仲違いしても法的な縁が切れるわけではありません。婚姻届を出した夫婦も法的拘束力がある関係なので、いざという時の家賃回収もしやすいと見なされているのです。
同棲やルームシェアを認めている賃貸物件でも、契約時の審査は厳しくなる傾向があります。だからといって、本当は友人同士なのに「縁戚関係がある」と嘘をついたり、一人暮らしで契約をしたのに恋人が入り浸って、なし崩しに同棲してしまったりといったことは、非常に好ましくありません。
ほとんどの賃貸契約書では、貸借人が別の人に住居を貸し出す「又貸し」が禁止されています。家主に届け出ることなく同棲やルームシェアをすると、又貸しと判断されて退去を迫られることもあるのです。
契約時に嘘をついていた場合も、発覚した時点で契約違反と見なされて契約を破棄され、家を追い出されることになります。同棲やルームシェアをする場合は、必ず家主の許可を取るようにしましょう。
同棲やルームシェアのリスクを減らす契約方法
複数人が賃貸物件で同居する場合、賃貸契約の結び方として3つの方法が考えられます。それが「代表契約」「個別契約」「連名契約」です。
代表契約は、住む人の中から代表者1人を選び、その代表者のみと賃貸契約を結ぶ方法です。入居審査も代表者についてしか行われず、保証人や保証会社も代表者の分だけ用意することとなります。
代表契約は、3つの契約方法の中で一番多く行われていいます。しかし、何かトラブルが起こった際には代表者1人がすべての責任を負わなければならないため、負担が大きく、リスクも高い契約方法と言っていいでしょう。
個別契約は、住む人全員と別々に契約を結ぶ方法です。入居審査は住む人全員について行われ、契約書も人数分用意されます。保証人や保証会社も、それぞれが個別に立てる必要があります。
リスクヘッジには個別契約がベストといえますが、家主や不動産会社にとっても非常に手間がかかる方法です。そのため、シェアハウスなどルームシェア専用に造られた物件以外では、あまり行われていません。
連名契約は、住む人全員の連名で賃貸契約を結ぶ方法です。連名契約の場合、ひとつの契約書に住む人全員の名前が書かれ、トラブルがあった際には全員が平等に責任を負うことになります。
保証人を立てる場合、連名契約では複数の保証人を求められることが多いようです。しかし保証会社を利用するなら、ひとつの賃貸契約について保証会社との契約もひとつとなっています。
連名契約なら、個別契約ほど手間もかからず、代表契約よりリスクを減らせますが、デメリットもあります。それは住む人が入れ替わったり、住む人数が変わったりした際には、改めて契約を結び直さなければならないことです。
どの契約方法にも、メリットもあればデメリットもあります。物件の所有者は、同棲やルームシェアでの入居申し込みを受けた際には、どの点を優先するのかをよく考えて契約方法を選びましょう。