景観地区と風致地区とは?
違いやメリット・デメリットを知る
2023年09月11日
「景観地区」「風致地区」という言葉を目にしたことはありますか? どちらも都市計画法に基づいて指定されるエリアですが、実はこのちきにある建物にはさまざまな制限がかかります。
景観地区・風致地区とはどんな地域なのか、建物にどんな制限がかかるのか、この機会に知っておきましょう。
景観地区は、好ましい街の風景を造っていくエリア
景観地区、風致地区は、都市計画法に基づいて指定される地域地区だと言いました。都市計画法の地域地区とは、そのエリアをどのように利用するのか計画的に定めたもので、全部で21種類あります。
よく耳にする「防火地域」「準防火地域」も都市計画法による地域地区です。そのほかに「特定防災街区整備地区」や「生産緑地地区」、「駐車場整備地区」といった地域地区もありますし、歴史ある土地では「歴史的風土特別保存地区」「伝統的建造物群保存地区」などが定められています。
景観地区は、好ましい風景を創りだす目的で、2005年(平成17年)から指定されるようになりました。その前身は都市計画法の地域地区のひとつだった「美観地区」です。
美観地区は、今ある好ましい風景を維持するための地域地区でした。対して景観地区は今後、好ましい風景を造りあげていくための地域地区という点が、大きな違いになっています。
景観地区にある建物には、景観法によってさまざまな制限がかかります。中でも一番特徴的なものは「建築物の形態意匠の制限」でしょう。
簡単に言うと「建物の見た目の雰囲気を、周囲の建物と合わせなければならない」ということ。つまり景観地区にある建物は、好き勝手に建て直しやリフォームができないのです。
景観地区ではそのほかにも、建物の高さについての最高限度や最低限度、敷地面積の最低限度、壁面の位置の制限などが指定されることがあります。制限の内容は地区ごとに異なっているので、知りたい場合はその地区を管轄する行政機関に確認してみましょう。
風致地区は、自然環境を維持するためのエリア
風致地区は、市街地に残された貴重な自然環境を維持するために定められる地域地区です。風致地区では自然環境を守るために、建物の建築そのものが制限されています。
風致地区の土地を開墾したり造成したりするのにも、行政機関の許可が必要です。それどころか、今ある建物についてもさまざまな規制があります。
風致地区にある建物は、形や色合いを好き勝手に変えることができません。つまり家の外壁を塗り直すだけでも、行政機関に申請して許可を取らなければならないのです。
自然を守るための地域地区ですから、庭木の伐採も制限されています。門扉や塀など建物の外構も建築物に準じた扱いで、交換や造り直しの際には許可が必要になります。
風致地区は自然を守るためのものだから、都市部は指定されていないだろうと思うかもしれません。ところが実は、東京23区内でも風致地区に指定されているエリアがあります。
同じように景観地区も、伝統ある場所や観光地に限らず、さまざまなエリアが指定されています。例えば東京23区内なら、臨海地域や隅田川・神田川・玉川上水などの水辺に多く見られます。
家を購入する際には、建物のある土地が何らかの地域地区に指定されていないか、確認しておきたいものです。そして、景観地区や風致地区の建物を購入する場合には、リフォームや建て直しが自由にできないことをあらかじめ承知しておきましょう。