分譲マンションの修繕積立金とは?
管理費との違いも解説
2023年09月08日
分譲マンションでは毎月、所有者に対して管理費や修繕積立金の支払いを求めることが一般的です。マンションを購入する場合、固定費として月々のローン返済だけではなく、管理費や修繕積立金も考えに入れておかなければなりません。
では、修繕積立金とは何のために支払うものなのでしょうか。管理費との違いについても解説します。
修繕積立金とは何に使われるものなのか
修繕積立金とはその名の通り、マンション共用部分の修繕のための費用です。普段からきちんとメンテナンスしている建物でも、年月が経つと劣化してくるため、いざというときの修理費用として積み立てておくのです。
分譲マンションでは一般的に、管理組合が長期修繕計画を作成します。外壁や屋上、廊下などの共用部分の美観と機能を保つため、5年、10年、15年といったサイクルで、定期的な修繕工事の予定を立てるのです。
マンション全体の修繕工事ですから、マンションの規模にもよりますが数千万円の工事費がかかることも珍しくありません。工事のたびにいちいち費用を集めるのも大変ですし、各部屋の所有者としても、高額な修繕費を一気に請求されると大きな負担になってしまいます。
そのためあらかじめ、毎月決まった金額を管理組合が徴収して積み立てておき、定期的な大規模修繕の費用とするのです。また修繕積立金は、災害による建物被害の復旧のためにも使われます。
修繕積立金の具体的な使い道としては、以下のようなものがあります。
・外壁の塗装やシーリング
・屋上やバルコニー、開放廊下などの防水加工
・玄関ドア、手すりなど金属部分の塗装
・玄関ドア、窓サッシ、集合郵便受けなどの交換
・エントランスホールや管理人室などの内装
・共用部分の給排水設備、ガス設備、電気設備の保守
・電話やインターネットなど通信設備の保守
・エレベーターや立体駐車場の駆動装置の保守
修繕積立金は管理費とどう違う?
修繕積立金と同じように、分譲マンションの所有者が毎月支払わなければいけない費用として、管理費があります。ならば、管理費と修繕積立金といったように項目を分けるのではなく、まとめて徴収して積み立てたほうが、フレキシブルに使えて便利だと考えるかもしれません。
しかし、マンション管理の標準モデルとして国土交通省が定めた「標準管理規約」では、管理費と修繕積立金は区別して会計管理することとされています。毎月、管理費と修繕積立金の合計額が口座から引き落としになっていても、帳簿上は厳密に区別されているのです。
管理費は主に、管理会社への管理委託費、清掃費やごみ処理費、共用部分の水道光熱費、共用部分の火災保険などの損害保険料、共用部分に設置された電灯の電球交換、エレベーターの日常的な点検などです。
修繕積立金は先程も言ったように、共用部分の定期的な修繕、災害による建物被害の復旧に使われます。そのほか建物が老朽化して建て直すことになった際に、建て直し費用にも充てられます。
管理費は住みやすい環境を維持するために使われる費用、修繕積立金は共用部分の修理のための工事費、と考えると分かりやすいかもしれません。
ちなみに修繕積立金の相場はどのくらいなのでしょうか。国土交通省が2018年に行った「平成30年度マンション総合調査」では、平均で月額12268円となっています。
ただし修繕積立金は、ずっと変わらないわけではありません。物価が上昇して工事にかかる費用が上がった、建物が老朽化して修繕が必要な箇所が増えたといった理由で、値上がりすることもあります。
分譲マンションを所有する限り、修繕積立金は必ず毎月支払わなければなりません。将来的に修繕積立金が値上がりしても困らないよう、月々の固定費を考える際にはある程度の余裕を持たせておきたいものです。