既存不適格物件とは?
投資として購入するならメリットも
2023年08月28日
中古物件の不動産広告を見ていると、「既存不適格建築物」という注意書きを目にすることがあります。
不適格という言葉の印象からマイナスイメージを持ってしまうかもしれませんが、実は意外なメリットもあるのです。この機会に、既存不適格物件について詳しく知っておきましょう。
既存不適格物件は、違法建築とは違う
既存不適格物件とは、新築当時は合法だったにもかかわらず、法律や条例が改正されたことで定められた基準に合わなくなってしまった物件をいいます。
建物を建てる際には、建築基準法や都市計画法、各自治体の条例など、さまざまな守るべき規則があります。しかしその規則は、時代や環境の変化に合わせてたびたび改正されるものです。
法律が変わるたびに、新たな法律に合うようすべての建物を建て替えることは不可能でしょう。そのため、「現在の法律には合っていない建物でも、建て替えるまではそのまま使用してかまわない」ということになっています。それが既存不適格物件です。
既存不適格物件は、現在の法律には合っていませんが、違法建築ではありません。違法建築とは、新築当時からずっと法律に違反した状態が続いている物件をいいます。
違法建築の場合は「すぐにでも壊して建て直すように」といった是正命令が出されます。しかし、既存不適格物件に対しては、そういった法的指導が行われることはありません。
既存不適格建築物の最大のデメリットは、現在の建物を取り壊して建て直そうとすると、多くの場合は小さな建物しか建てられないことでしょう。
建築基準法や都市計画法の建物に対する基準には、建ぺい率・容積率・斜線制限・絶対高さ制限・採光率・接道義務・耐震基準などさまざまなものがあります。どの項目が不適格なのかにもよりますが、基準は年々厳しくなっているので、建てられる建物のサイズも小さくなってしまうのです。
しかしそういった事情から、既存不適格物件は周囲の物件相場より安く売買されることが一般的です。「とにかく少しでも安く家を手に入れたい」という人にとっては、既存不適格物件を購入するメリットにもなります。特に投資用として購入する場合、物件の価格が安ければ収益を上げやすいことでしょう。
さらに既存不適格物件は資産的な価値が低いので、固定資産税評価額も低くなっています。つまり、固定資産税評価額を元に計算される固定資産税・相続税・贈与税などが節税できるというメリットもあるのです。
既存不適格物件は、建て替える際には現行の法律に合わせた建築物にしなければいけません。しかしリフォームなら、自由に行うことができます。
既存不適格物件のリフォームできる範囲は、「建築確認申請が必要ないリフォーム」までと考えておきましょう。
建物の床面積を増やす増築や、建物の高さを変える改築を行う際に建築確認申請が必要なので、既存不適格物件ではできません。
ところが、建物の基本構造となっている柱や梁、筋交いなどの組み替えをしないリフォームは、建築確認申請が必要ありません。つまり、柱と梁以外をすべて壊して新築同様に造り直すスケルトンリフォームも可能ということです。
ひとつ気をつけておきたいのは、2025年に建築基準法の改正が予定されていること。改正後には、スケルトンリフォームのような大規模改修にも建築確認申請が必要になると予想されています。
既存不適格物件を購入し、リフォームして利用したいと考えるなら、2024年までが狙い時と言えるでしょう。