不動産投資で重視すべき「キャッシュフロー」とは?
2023年08月16日
不動産投資では、さまざまな専門用語が出てきます。そのひとつ「キャッシュフロー」という言葉をご存知でしょうか。
投資用物件を安定して運用するためには、キャッシュフローの把握が欠かせません。なぜそれほど重要なのか、詳しく解説します。
キャッシュフローは「お金の流れ」
キャッシュフローとは。直訳すると「お金の流れ」のこと。投資によって得られる収入「キャッシュインフロー」と、運用に必要な支出「キャッシュアウトフロー」を、合わせてキャッシュフローといいます。
キャッシュフローの計算は、決して難しくありません。基本的には「年間家賃収入-維持費や修繕費などの諸経費-ローン返済額」で計算します。
家賃収入には税金がかかるので、細かく計算すると「年間家賃収入-税額-諸経費-ローン返済額」となります。しかし、収入額によって税率が異なり計算が複雑になるので、ざっくり把握する場合は税額を含めなくてもいいでしょう。
キャッシュフローの計算で導き出されるのは、「手元に残る現金の額」です。なぜ、手元に残る現金の額を把握する必要があるのかというと、帳簿上の損益とキャッシュフローには大きな違いがあるからです。
帳簿上の損益は、取引が成立した時点で発生します。対してキャッシュフローは、実際に現金が動いて初めて発生します。つまり、帳簿上の損益とキャッシュフローには、タイムラグがあるのです。
例えば、何かトラブルがあって修繕が必要になったとしましょう。工事業者に修繕を依頼するには、修繕費を用意しなければなりません。
キャッシュフローがプラスになっていれば、現金が手元にあるので修繕を依頼できます。ところが、帳簿上では黒字でも手元に現金がなければ、修繕することができません。
必要な現金が用意できなければ、最悪の場合、黒字倒産といった事態に陥ることも。キャッシュフローを把握して、プラスに持って行くことで、修繕や空き室といったリスクにも余裕を持って対応できるのです。
また、キャッシュフローが多ければ、ローンの返済も余裕を持ってできることでしょう。将来的に物件を売却することになった際も、キャッシュフローが多いほど物件の価値も高く評価されます。
ではキャッシュフローを増やすには、どうしたらいいのでしょうか。結論から言うと、キャッシュインを増やすか、キャッシュアウトを減らすしかありません。
ただ、いくらオーナーだからといって、家賃をいきなり上げるわけにもいきませんし、家賃を高くしても賃貸契約者がいなければそもそも収入にはつながりません。キャッシュインを増やすよりも、キャッシュアウトをコントロールすべきでしょう。
キャッシュアウトを抑えるには、いくつかの方法があります。まずは投資用ローンを組む際に、「頭半として入れる自己資金比率を増やす」「なるべく低金利のローンを組む」「返済期間を長くする」といった対策をとることで、ローン返済額が抑えられます。
すでに投資用ローンを組んでいる場合は、繰り上げ返済をすることで利息や返済額を減らせることでしょう。繰り上げ返済する資金が用意できない場合は、もっと低金利のローンに借り換えをするという方法もあります。
また、物件の運用コストの見直しも有効な手段です。しかし、むやみに運用コストを削ってしまうのはおすすめできません。
物件の管理委託会社を安いところに変えた結果、管理が行き届かない、空き室対策が十分にできないといった結果になることも。また、経費を節約しようと物件の修繕を先延ばしにすると、物件の価値が下がってしまい、家賃を下げざるを得なくなってしまうこともあります。
大切なのは、目先の損得に惑わされないこと。一時的にキャッシュフローがマイナスになったとしても、物件の資産価値を下げないようにすることが長期的なプラスにつながるはずです。