投資用マンションのオフィス利用、知っておきたいメリットとデメリット
2023年08月02日
2019年末から始まったコロナ禍をきっかけに、一気に進んだ働き方改革。テレワークやフリーランスが増えたことで、「居住用のマンションやアパートを、オフィスや事務所として利用したい」というニーズが高まっていることをご存知でしょうか。
通勤時間が節約できて身体的な負担も減ることから、テレワークやフリーランスといった選択をする人が増えてきました。これは不動産投資家にとっても、大きなビジネスチャンスといえます。
誰もが自宅に専用の仕事スペースをとれるわけではありません。集中して仕事をするためのオフィスを借りたいと思っても、個人で事務所専用物件を借りるのは、賃料などの面からもハードルが高いことでしょう。
そのため、居住用のアパートやマンションを仕事場として借りたいという需要が増えています。実は、居住用の投資物件をオフィスとして貸し出すことは、オーナーにとっても大きなメリットがあるのです。
一番のメリットは、空き室リスクを軽減できること。物件の用途を広げれば、入居者となるターゲット層の数も多くなります。その結果、空き室の期間も短くできることでしょう。
またオフィス利用では、自宅として居住している場合よりも、キッチンや風呂・洗面所を使う頻度が低くなることでしょう。使わなければ汚れもつきにくいので、物件が傷みにくいというメリットがあります。
さらに、居住用の物件をオフィスとして貸し出す場合、目的外使用として賃料を上乗せできる可能性も。もちろん、賃料を高くすることで需要が減ってしまっては元も子もありませんが、入居希望者との交渉次第では1~2割程度の上乗せができるかもしれません。
オフィス利用を認める際の注意点
居住用の投資物件をオフィスや事務所として貸し出す場合、確認しておきたいことがいくつかあります。特にマンションの区分所有の場合は注意が必要です。
居住専用マンションの場合、出入りするのは基本的に住人だけです。しかしオフィス利用だと、取引先が出入りすることになります。さらにネイルサロンなどの店舗利用になると、誰が入ってきてもおかしくありません。
身元のはっきりしない不特定多数が出入りすることになれば、事件や事故などのトラブルも起こりやすくなります。そういった治安に不安があるような環境だと、物件自体の価値も下がってしまいます。
オフィス利用を認める場合は、入居希望者の業態もチェックしましょう。できれば、不特定多数が出入りするBtoCは避けて、BtoBの業態の入居者を選んだほうが賢明です。
治安維持を理由に、マンションの管理組合規約でオフィス利用を禁止している例も少なくありません。分譲マンションを区分所有しているなら、あらかじめ管理組合規約をチェックしておきましょう。
もし管理組合規約に違反してオフィス利用を認めてしまうと、入居者に違約金を支払って退去してもらわなければならなくなる可能性もあります。
また、居住用物件をオフィスとして貸し出す場合は、事前に登記内容の変更が必要です。さらに居住用物件の家賃は非課税ですが、オフィス・店舗利用の場合は賃料に消費税がかかります。
そういった事務手続きや経理処理を怠っていると、確定申告などの際に問題になってしまいます。オフィス利用の増加というチャンスを活かすためにも、事前のチェックや準備は怠らないようにしたいものです。