不動産投資で見かける「オーナーチェンジ物件」とは?
2023年6月5日
投資用の不動産を探していると、「オーナーチェンジ物件」という言葉を目にすることがあります。オーナーチェンジ物件とは、いったいどんな物件のことなのかご存知でしょうか。オーナーチェンジ物件のメリット・デメリットも含めて、詳しく見てみましょう。
オーナーチェンジ物件とは、賃貸入居者がいる状態で売りに出された物件をいいます。アパートなど1棟が丸ごと売りに出される場合もあれば、マンション1室ということもあります。
いずれも、現在住んでいる賃貸入居者にはそのまま住み続けてもらい、物件の売買によって所有者(オーナー)のみが変更になるため、オーナーチェンジ物件と呼ばれています。
オーナーチェンジ物件を購入すると、物件の所有権は売主から買主に移ります。それだけでなく、売主が入居者と結んだ賃貸契約も、買主がそのまま引き継ぐことになるのです。
オーナーチェンジ物件の一番のメリットといえば、購入直後から家賃収入を得られることでしょう。すでに入居者がいるのですから、新たに入居者を募集する手間がかかりません。
ほかにもオーナーチェンジ物件には、投資計画が立てやすいというメリットがあります。その理由は、家賃の下落幅が小さいからです。
入居者を募集する際、新築物件はニーズが高いので家賃も高めに設定できますが、最初の入居者が退去してしまうと新築時と同じ家賃で次の入居者を見つけるのは難しくなります。しかしオーナーチェンジ物件はすでに築古のため、入居者が入れ替わる際にもそれほど家賃を下げなくても済むのです。
またオーナーチェンジ物件は、投資ローンの審査も通りやすいといわれています。どのくらいの家賃収入が得られるかという収益性が明確なため、赤字物件でない限り、融資が下りやすくなるのです。
オーナーチェンジ物件にはデメリットもいくつかあります。そのひとつが、購入前に室内状況の確認などができないことです。
建物には、実際に室内を見てみないと分からない住宅設備の不備や劣化があるケースも珍しくありません。そのため、購入してから修繕費がかかるといったリスクも覚悟しておく必要があります。
またオーナーチェンジ物件を購入した新オーナーは、前オーナーの売主と入居者が交わした賃貸契約をそのまま引き継がなければなりません。たとえ新オーナーにとって好ましくない契約内容でも、変更はできないのです。
具体的には、家賃が相場より安い、ペット可か不可かといったポイントが考えられます。もちろんオーナー権限で契約内容を変更することも不可能ではありませんが、かなり煩雑な手続きが必要だと考えておきましょう。
さらにオーナーチェンジ物件の中には、住民トラブルを抱えている物件もあります。家賃を滞納する、ゴミ出しのルールを守らないなど問題のある入居者だった場合、新オーナーは苦情や対応に追われることとなります。
売主も、入居者の人柄についてはあまり口外したがらないもの。事前に察知するのは難しいと言っていいでしょう。
オーナーチェンジ物件でデメリットを被らないための対策としては、物件が売りに出された理由を調べることです。
「年齢・体力的に不動産投資が難しくなった」「転勤で物件から遠距離になる」「マイホーム購入でまとまった金額が必要になった」といった売主の個人的な理由なら、さほど問題はありません。
しかし、「入居者とのトラブルで運用に疲れてしまった」「入居者が安定せず、経営が成り立たない」といった理由なら、そのオーナーチェンジ物件は買うべきではありません。
まずは仲介の不動産会社に、売却理由を聞いてみましょう。さらに、入居者との契約内容の確認も必須です。余裕があれば現地に足を運んで、近隣の評判などをそれとなく聞いてみるのもいいでしょう。
そもそも収益の上がる物件を、簡単に手放す人はいません。売却理由が納得できない、入居者の家賃にばらつきがあるなど不自然な点が見られた場合、リスクを避けるためには購入を見送ったほうが安全です。