物件の購入を申し込んだ後で、キャンセルはできる?キャンセル料は?
2023年5月31日
時間と手間をかけて物件を探し、ここぞという物件が見つかって購入申し込みをしたとしましょう。ところが何らかの理由で購入できなくなりました。そういった場合、キャンセルはできるのでしょうか。
今回は物件の購入申し込み後のキャンセルについて、詳しく解説します。
購入申し込みをした後でも、キャンセルはできます。ただし、タイミングによってはペナルティがつく場合があるので注意しましょう。
「購入申し込み」は、その物件を買いたいという意思表示であって、特に法的な拘束力はありません。そのため、売買契約を結ぶ前であれば、ペナルティなくキャンセルできるのです。すでに手付金を支払っている場合は、全額戻ってきます。
ただ購入申し込みをすると、売主や不動産会社など多くの人が売買契約に向けて動き出します。そこでキャンセルとなると、多くの人に迷惑をかけることに。ですから万が一キャンセルする場合は、なるべく早く伝えることが大切です。
また、いくらキャンセルできるからといって、「物件の仮押さえ」程度の心づもりで購入申し込みをすべきではありません。キャンセルを繰り返すと信用が失われ、物件を紹介してもらえなくなると考えておきましょう。
売買契約の成立後にキャンセルする場合
売買契約を結んでしまった後でも、キャンセルすることは可能です。ただし、売買契約成立後のキャンセルの場合、契約時に支払った手付金は戻ってきません。
購入申し込みとは違って、売買契約には法的な拘束力があります。そのため、売買契約成立後のキャンセルには、手付金の放棄というペナルティが生じるのです。
さらにタイミングによっては、手付金の放棄に加えて違約金が必要になることも。売買契約が成立して、「売主が契約の履行に向けて動き出した後」のキャンセルは、違約金が請求される場合があります。
契約の履行に向けて動き出した後とは、例えば「所有権移転登記の申請手続きを始めた」「物件の引き渡しが行われた」といった状況をいいます。
売買契約の内容によって違ってきますが、違約金は物件購入代金の10~20%程度と考えておきましょう。またそのほかに、不動産会社から仲介手数料を請求される場合もあります。
実は売買契約成立後であっても、手付金の放棄や違約金なしにキャンセルできるケースもあります。そのひとつが、住宅ローン審査に落ちた場合です。
不動産売買では、売買契約を結んでから住宅ローンを申し込んで審査を受けます。しかし、ローン審査に落ちてしまうと購入資金が用意できなくなってしまうことに。
そういった場合に備えて、売買契約には「住宅ローン特約」という項目が盛り込まれていることが一般的です。「住宅ローン特約」とは、万が一ローン審査に落ちてしまった場合は、特にペナルティなく契約を解除できるというものです。
ただし住宅ローン特約は、必ず盛り込まれているわけではありません。売買契約の際には、「住宅ローン特約」が入っているかどうか、必ずチェックしておきましょう。
住宅ローン特約と同じようなものに、「買い替え特約」があります。買い換え特約は、マイホームの買い替えをする人が、新居の購入手続きをする際につける特約です。
例えば、旧居を売却したお金を新居の購入資金に充てようと思っていたのに、旧居が予定よりも安い金額でしか売れなかったとしましょう。その場合も買い替え特約があれば、新居の購入をペナルティなしにキャンセルできます。
ほかにも、売主側に契約違反などがあった場合は、ペナルティなしにキャンセルできます。具体的には、「引き渡し前に物件が破損した」「期日に物件の引き渡しができない」といったケースです。
ただし、「家の設備などが、説明を受けていたものと違っていた」程度では、契約違反といえるほどの問題ではないと見なされてしまいます。どの程度ならキャンセルできるのか、気になる場合は売買契約時に確認しておきましょう。