マンション間取り図で「S」と書かれる、サービスルームとはどんな部屋?
2023年5月29日
不動産広告を見ていると、「3SLDK」「3LDK+S」といった表示を目にします。この「S」とはサービスルームのこと。
では、サービスルームとはいったいどんな部屋なのでしょうか。詳しく解説します。
サービスルームとは、建築基準法に定められた居室の条件を満たしていない部屋をいいます。そのほとんどは、何らかの理由で外からの光が入りにくいことが原因となっています。
建築基準法でいう居室とは、「居住、作業などの目的のため、継続的に使用する部屋」のこと。つまり、洋室・和室、寝室、子供部屋、リビングルーム、ダイニングルームが居室に当たります。玄関や廊下、キッチン、バストイレ、洗面所などは居室ではありません。
建築基準法では居室について、天井の高さ、採光や換気のための窓の大きさなど、さまざまな条件を設けています。その基準を満たしていないと、居室と表示することはできません。
どの階も同じ間取りのマンションで、2階以上は居室になっている部屋が、1階だけはサービスルームと表示されているといった例を見たことはありませんか。これも、周囲の建物などの影響で、1階の部屋には光が入りにくいからでしょう。
もちろんマンションの1階だからといって、必ずしも光が入りにくいわけではありません。居室の採光率については細かい計算式があるので、それに当てはめて判断します。
物件によってはサービスルームを、ストレージルーム、納戸、書斎(DEN)、ワークスペースなどと表示していることも。居室ではない部屋をどう表示するかは基準がないので、建築主や施工会社が判断して決めています。
サービスルームを居室として使ってもいい?
サービスルームは、あくまで建築基準法による区別です。その家に住む人が居室として使ったとしても、どこかの監督省庁から指導を受けたり罰金を科されたりといったことはありません。
ただし、サービスルームを居室として使う場合、気をつけたいポイントがあります。それは、設備がどの程度整っているかです。
実は建築基準法では、「居室以外の部屋に、居室と同じような設備を設けてはいけない」という制限を設けています。そのためサービスルームには、テレビのアンテナ回線、電話回線、エアコンの配管穴をつけることができません。
場合によっては、コンセントさえ設けられていないサービスルームも。これでは居室として使うには無理があるでしょう。
もちろん、エアコンの配管穴がなくても窓型エアコンなら設置できますし、コンセントについてもほかの部屋から電源コードを引いてくれば補えます。ただ、サービスルームを居室として使うには、多少の不便があると考えておきましょう。
サービスルームのある家を購入する場合には、あらかじめサービスルームをどのように使うか考えておきたいものです。そして物件見学の際には、予定している使い方ができるかどうか、サービスルームの設備をチェックすることをお勧めします。