住宅ローンの返済期間はどうやって決める?
2023年5月19日
住宅ローンを利用する際に、返済期間を何年にするのか悩む人も多いのではないでしょうか。返済期間が長いほうが月々の返済額は抑えられますが、最終的に払いきれるのか不安に思うこともあるでしょう。
住宅ローンの返済期間をどう決めるべきか、事前にポイントを押さえて少しでも不安を軽くしてみませんか。
多くの金融機関では、住宅ローンの最長借入期間を35年に設定しています。中には最長50年といったロングプランを用意しているところもありますが、ごく一部の例外と考えておきましょう。
一般的に、住宅ローンの申し込みができる年齢は20~70歳で、完済時の年齢が80歳未満とされています。これは住宅ローンの契約時に加入する団体信用生命保険が、80歳未満しか保障しないことになっているからです。
そのため、最長35年の住宅ローンを組めるのは、44歳以下ということになります。50歳から35年ローンを組もうとしても、完済時の年齢が85歳になってしまうため契約できません。
また、80歳で完済するという契約を結んだ場合、定年後の返済に不安を抱くこともあるでしょう。そう考えると、返済期間はできる限り短くしたいと思う人が多いのではないでしょうか。
住宅ローンの返済期間を長くするほど、月々の返済金額は抑えられます。ただし、支払わなければならない利息が多くなり、総返済額が増えてしまいます。
反対に住宅ローンの返済期間を短くすると、利息分の支払いを減らせます。しかし、月々の返済額が増えて、負担が増してしまいます。
さらに住宅ローンの返済期間は、繰り上げ返済などで短くすることはできても、長くすることはほぼ不可能です。住宅ローンの借り換えを行っても、残りの返済期間は変更できないケースがほとんどです。
リスクをできる限り避けるなら、住宅ローンの返済期間はなるべく長くしておいたほうが無難といえます。
参考までに、どのくらいの返済期間で住宅ローンを利用する人が多いのか、国土交通省が毎年行っている「住宅市場動向調査」の2021年度の報告書を見てみましょう。
注文住宅(建築費) 32.9年
注文住宅(土地代) 34.2年
新築戸建住宅 34.1年
新築マンション 32.0年
中古戸建住宅 29.2年
中古マンション 29.9年
これは住宅ローンを利用している人の平均値ですが、大体30~35年くらいの返済期間で住宅ローンを組んでいると考えていいでしょう。
繰り上げ返済で総返済額を安くする
住宅ローンの返済期間を長くするほど利息が多くなり、総返済額が増えてしまうと言いました。しかし、途中で繰り上げ返済をすることで、総返済額を安くすることができます。
繰り上げ返済は、月々の返済にプラスして、手持ちの資金に余裕ができたときにまとめて返済するという方法です。いつ行うのか、いくら繰り上げ返済するのかは、自由に決められます。
繰り上げ返済には、返済期間を短縮する「返済期間短縮型」と、月々の支払額を少なくする「返済額軽減型」の2つがあります。
返済期間短縮型は、返済期間が短くなる分、利息も少なくなります。返済額軽減型は、残りの返済期間は変わりませんが、元金の額が減るので利息が少なくなります。
「返済期間はできるだけ短くしたいけれど、月々の返済額は抑えたい」と考えるなら、返済期間を30~35年にしておいて、繰り上げ返済するという方法を検討してみてはいかがでしょうか。
リスクをできる限り低くするなら、70歳前後で完済する住宅ローンを組んで、繰り上げ返済で返済期間を5~10年ほど短縮するのが理想的といえます。
ただし住宅ローンの審査内容によっては、希望する借入期間にならないこともあります。あらかじめ余裕を持って考えておくことが大切です。