都市計画の用途地域とは? 家探しで知っておきたいポイント
2023年4月21日
マイホームを探している際に、「用途地域」という言葉を目にしたことはありませんか? 用途地域とは、エリアごとに土地の使い道を定めたものです。
用途地域によって、そのエリアの雰囲気や住み心地は変わってきます。改めて用途地域について、詳しく見てみましょう。
用途地域は、都市計画法に基づいて定められた制度です。エリアごとに13タイプに分類して、建てられる建物の大きさや使い道を制限しています。
いくら自分の土地だからといって、みんなが好き勝手に建物を建ててしまうと、街並みがめちゃめちゃになってしまいます。そんな事態にならないよう、計画的に街作りをするために「都市計画法」が定められました。
都市計画法では、まず国内すべての土地を大きく3つに分類します。
市街化区域
すでに市街地になっている、または計画的に街並みを作っていきたいエリア
市街化調整区域
開発を抑えて、森林などの自然を守っていきたいエリア
非線引区域
将来的には計画的に街づくりをしたいが、とりあえず今は手を触れないエリア
この中の「市街化区域」を、より細かく分類しているのが用途地域です。
用途地域は全部で13タイプがあると言いました。そのエリアがどの用途地域に指定されているのかをあらかじめ知っておかないと、いざ住んでみてから「こんなはずじゃなかった」となってしまう可能性があります。
かなり極端な話ですが、目の前に公園があることが魅力になっている家を買ったとしましょう。しかしそのエリアの用途地域が「準工業地域」だった場合、ある日突然、公園が潰されて工場が建つかもしれません。
あるいは、静かな住宅街に住んでいるものの、近所にコンビニエンスストアがなくて不便を感じているとしましょう。そのエリアが「第一種低層住居専用地域」だった場合、今後もコンビニができることはありません。
実は「低層住居専用地域」には第一種と第二種があります。第一種低層住居専用地域にはコンビニすら建てられませんが、第二種は建てられます。
つまり、第一種低層住宅専用地域に住めば夜も静かに過ごせるし、第二種なら夜中もでも買い物ができて便利といったように、どんな用途地域に住むかによって日々の暮らしに違いが出てくるのです。
用途地域は自治体のホームページなどで公開されています。マイホーム選びの際には、用途地域も考えに入れておきたいものです。
13の用途地域について、それぞれ簡単に紹介しておきます。参考にしてください。
住宅系 | 第一種低層住居専用地域 | 低層住宅のための地域です。建てられる建物の高さは10メートル程度に制限されています。 住宅を兼ねた小規模な店舗や事務所、小中学校が建てられます。 |
第二種低層住居専用地域 | 主に低層住宅のための地域です。建物の高さの制限は第一種と変わりません。 小中学校のほか、床面積が150平方メートルまでの店舗が建てられます。 | |
第一種中高層住居専用地域 | 中高層住宅のための地域です。建物の高さ制限はありません。 2階建てで床面積500平方メートルまでの店舗や、幼稚園から大学までの教育施設、病院、図書館などが建てられます。 | |
第二種中高層住居専用地域 | 主に中高層住宅のための地域です。 第一種で建てられるものに加えて、2階建てで床面積1500平方メートルまでの店舗や事務所も建てられます。 | |
第一種住居地域 | 住居の環境を守るための地域です。 第一種・第二種中高層住居専用地域で建てられるもの加えて、床面積3000平方メートルまでの店舗や事務所、ホテルが建てられます。 | |
第二種住居地域 | 主に住居の環境を守るための地域です。 第一種で建てられるものに加えて、ボーリング場やスケート場、カラオケボックス、パチンコ店といった遊興施設も建てられます。 | |
田園住居地域 | 田園風景と住居の調和した環境を守るための地域です。 地域内で取れた農産物を売るなら500平方メートルまで、それ以外は150平方メートルまでの店舗が建てられます。 | |
準住居地域 | 広い道路沿いで、自動車関連施設と住居の調和した環境を守るための地域です。 第二種住居地域で建てられるものに加えて、車庫や倉庫、小規模の自動車修理工場などが建てられます。 | |
商業系 | 近隣商業地域 | 付近の住民が日用品の買物などをするための地域です。 住宅のほか、店舗や事務所、劇場、映画館などが床面積の制限なく建てられます。 |
商業地域 | 銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域です。 近隣商業地域で建てられるものに加えて、風俗施設なども建てられます。 | |
工業系 | 準工業地域 | 主に軽工業の工場やサービス施設が集まる地域です。 危険性や環境悪化が大きい工場以外は、住宅、店舗、教育施設、病院、ホテル、映画館など、ほとんどの建物が建てられます。 |
工業地域 | どんな工場でも建てられる地域です。 住宅や店舗は建てられますが、教育施設、病院、ホテルなどは建てられません。 | |
工業専用地域 | 工場のための地域です。 どんな工場でも建てられますが、住宅、店舗、学校、病院、ホテルなどは建てられません。 |