住宅ローンを組むなら、頭金はどれくらい必要?
2023年4月17日
マイホームを購入する際、多くの方は住宅ローンを利用することでしょう。その場合、頭金はどのくらい用意すればいいのでしょうか。
今回は、マイホーム購入時の頭金について、改めて注目してみましょう。
そもそも頭金とは、住宅購入費のうち自己資金で用意する部分を指します。つまり、「頭金+住宅ローンの借入額」がマイホームの購入費用となります。
例えば、3000万円の家を買うとしましょう。そのうち500万円を貯金から用意して、残りの2500万円を住宅ローンでまかなう場合、自己資金で用意する500万円が頭金となります。
以前は、「頭金は物件価格の10~20%」が相場といわれてきました。しかし現在では、頭金なしで物件価格の100%を住宅ローンで借り入れする人が増えています。
三井住友信託銀行が2022年に行ったアンケート調査では、住宅ローンを利用している人のうち「頭金ゼロ」という人が約25%という結果となりました。30代に限ると、約40%の人が頭金ゼロとなっています。
さらに物件価格だけでなく、住宅購入にかかる諸費用まで含めた全額を貸してくれる金融機関もあります。頭金のために自己資金を貯めるよりも、頭金ゼロの100%ローンでマイホームを購入する時代になったといえるでしょう。
頭金ゼロのフルローンにする最大のメリットは、自己資金が貯まるまで待つことなく、早めにマイホームが購入できることでしょう。
昔は住宅ローンの金利が高かったため、返済額の負担を減らすには、少しでも多くの頭金を用意する必要がありました。しかし今は、歴史的な低金利時代が続いています。
頭金が貯まるまで待っていると、せっかくの低金利のタイミングを逃してしまう可能性も。フルローンにして手元に資金を残し、その資金を上手に運用したほうが有利といえます。
また住宅ローン控除は、その年の年末時点での住宅ローン残高に応じて、所得税から控除される金額が決まります。つまり、住宅ローンの残高が大きいほど、控除される金額も大きくなるのです。
頭金なしのフルローンには、もちろんデメリットもあります。フルローンは借入額が大きくなるので、申し込む人の年収や職業によっては、希望する金額を貸してもらえないこともあります。
借入額が大きくなれば、支払わなければならない利息も多くなります。借入額が大きいほど返済期間も長くなる傾向にあるので、さらに利息が増えてしまうことも。
また、頭金ゼロだと優遇金利が受けられないことがあります。例えば住宅支援機構のフラット35の場合、2023年1月時点でのフルローンの金利は1.940~3.530%ですが、頭金10%なら金利が1.680~3.270%となっています。
そして、住宅購入にかかる諸費用までを含めた全額をローンでまかなう場合も、基本的に手付金だけは一旦現金で用意しなければならないことがほとんどです。フルローンでのマイホーム購入を考えているなら、これだけは覚えておきましょう。
たとえ自己資金があったとしても、全部を頭金として支払ってしまうのはお薦めできません。できればある程度まとまった金額を手元に残しておきたいものです。
住宅ローンの金利は、経済市場の状況によって常に変化しています。金利が上昇した場合、変動金利の住宅ローンでは、月々の返済額も増えていきます。
お子様の進学で支出が増えた、転職で収入が減ったといったことがあれば、家計の負担も変わってきます。さらに台風などの災害で、多額の修繕費が必要になることもあります。
現在の状況なら、月々のローン返済が問題なく行えるとしても、将来的にもそうだとは限りません。頭金の金額を考えるなら、10年後、20年後のライフプランまで見据えた上で決めたいものです。