住宅ローンの固定金利と変動金利、それぞれのメリット・デメリット
2023年4月7日
住宅ローンには、固定金利と変動金利の2タイプがあります。どちらを選ぶべきか、迷っている方も多いのではないでしょうか。改めてそれぞれのメリット・デメリット、どのような人に向いているかも紹介しますので参考にしてください。
変動金利とは、世の中の金利水準に合わせて住宅ローンの金利も変動するタイプです。金利水準は毎月変動しますが、住宅ローンの変動金利の見直しは半年ごとに行われます。
そう聞くと「半年ごとに月々の返済金額が変わるの?」と思われる方もいることでしょう。しかし、そうではありません。毎月の返済金額の中に含まれる元金と利息の割合が変わるだけです。
毎月の返済金額そのものの見直しは、5年ごとに行われます。その際にも、返済金額が急激にアップして家計に大きな打撃を与えることがないよう、多くの金融機関では125%ルールを採用しています。
125%ルールとは、5年の間にどんなに金利が上昇したとしても、それまでの月々返済額の125%までしか上げてはいけないという上限規定です。
変動金利のメリットは、固定金利よりも一般的に金利が低いことでしょう。さらに金利水準が下がれば、総返済額も安く抑えられます。
デメリットとしては、金利の変動によって総返済額や返済期間が変わってしまう恐れがあること。125%ルールによって支払いきれなかった利息分は、最終返済時に一括で返済しなければならないため、注意が必要です。
固定金利とは、物価や金利水準の変動にかかわらず、金利が固定されていて変わらないことをいいます。金利が固定されていると、金利が上昇しても支払金額が増えない、月々の返済額が変わらないので返済計画が立てやすいといったメリットがあります。
デメリットとしては、変動金利よりも一般的に金利が高いことでしょう。そのため、将来的に金利水準が変わらないままか、あるいは金利水準が下がると、変動金利よりも総返済額が多くなってしまいます。
住宅ローンの固定金利には、「全期間固定金利型」と「固定金利期間選択型」の2つのタイプがあります。全期間固定金利型は、ローン借入時から完済まで金利が変わることはありません。
固定金利期間選択型は、ローン借入時から一定の期間のみ金利が変わらないというシステムです。最初に、2年、3年、5年、7年、10年といった選択肢から固定金利の期間を選び、固定期間が終了した時点で、さらに固定金利を続けるか、変動金利にするかを選べます。
固定金利期間選択型は一般的に、固定金利の期間が短いほど金利は低くなります。固定金利と変動金利のメリットを合わせたタイプといってもいいでしょう。
近年は10年単位で低金利が続いているため、固定金利よりも変動金利のほうが月々の負担が軽くなっています。しかし将来的に金利が上昇した際には、変動金利だと負担が一気に増えてしまう可能性もあります。
変動金利に向いているのは、とにかく返済額を抑えたいという方や、金利が多少変動しても経済的な余裕がある方でしょう。低金利のうちに貯蓄を増やして、繰り上げ返済をしたいというライフプランの方にも、変動金利はお薦めです。
固定金利が向いているのは、金利の変動に悩まされることなく安定して住宅ローンを返済していきたい方でしょう。教育ローンやマイカーローン、転職などの予定があり、支出額を一定にしておきたいという方にも向いています。
リスクを考えると変動金利を選ぶことに抵抗があるいう方には、固定金利選択型がお薦めです。将来的な金利水準の推移を見て、柔軟に対応したいという方も、向いているといえるでしょう。
現在、住宅ローンを利用している人の中では、変動金利と固定金利のどちらが多いのでしょうか。参考までに見ておきましょう。
住宅金融支援機構が定期的に行っている「民間住宅ローン利用者の実態調査」では、2022年10月の時点で、変動金利を選んでいる人は全体の69.9%、全期間固定金利型は10.0%、固定金利期間選択型は20.1%でした。
固定金利期間選択型の中では、固定金利の期間を10年以上にしている人が47.8%、10年が31.2%、5年が10.3%、3年が5.3%、2年が1%、そのほかが4.3%となっています。
住宅ローンは、金利のタイプや金利水準の変化によって、最終的な返済額が大きく変わってきます。将来的な金利の動向は、簡単に予測できるものではありません。自身のライフプランだけでなく、リスクもよく考えて選ぶことが大事でしょう。