物件の価値よりローン金額が多くなるオーバーローンにも、メリットはある

オーバーローンになってしまう原因は、大きく2つに分かれます。ひとつは不動産を購入した後に資産価格が下がって、ローン残高のほうが多くなってしまうパターンです。

もうひとつは、最初から不動産価格よりも高い金額を借り入れるパターン。購入時の諸経費や、購入後のリフォーム費用も含めて住宅ローンを組んだ場合などに起こります。

どちらのパターンでも、完済まで無理なく返済していけるなら、それほど問題はありません。オーバーローンで困るのは、ローン返済中に不動産を売らなければならなくなった場合くらいでしょう。

オーバーローンの状態だと、不動産を売却して得た金額だけではローンを完済できません。差額を埋められるだけの自己資金が用意できればいいのですが、自己資金が足りなかった時に問題となります。

ローンの契約時には、購入する家に対して抵当権が設定されます。抵当権は、ローンを完済しないと外すことができません。

抵当権がついたままの家を売ろうとすると、購入希望者が現れない、より安く買い叩かれるといったことが起こります。そのため「オーバーローンは売却が難しい」といわれるのです。

この売却時の問題が、オーバーローン最大のデメリットといっていいでしょう。反対に、売却する予定がなければ、オーバーローンになってもそれほど心配する必要はないともいえます。

では改めて、オーバーローンのメリットを見てみましょう。

不動産の購入時には、物件価格の物件価格の3～10％程度の諸費用がかかります。例えば3000万円の物件なら、最大300万円程度の諸費用が必要になります。

以前は、諸費用は自己資金から現金で用意しなければなりませんでした。しかし近年では、諸費用込みで組める住宅ローンも増えてきています。

つまり、オーバーローンにすれば、自己資金がゼロでも不動産が購入できるということ。自己資金が貯まるまで待つ必要がないので、希望に合った物件が見つかった時にタイミングを逃さず購入できます。

たとえ自己資金がある程度用意できているとしても、オーバーローンにすれば自己資金を減らさずに済みます。万が一を考えて手元に現金を残しておきたいという人にも、オーバーローンはおすすめです。

また、中古住宅を購入してリフォームしてから入居しようと考えている場合、リフォーム費用込みで借りられる住宅ローンもあります。当然オーバーローンになりますが、住宅ローンとは別にリフォーム費用を用意するよりお得と言っていいでしょう。

リフォームローンを利用する場合、住宅ローンよりも金利が高いことが一般的です。住宅ローンとリフォームローンの2本立てにすると、月々の返済の負担も大きくなります。

しかし、リフォーム費用込みで住宅ローンを組めば、利息が抑えられ、月々の返済負担も軽くなるということ。これもオーバーローンのメリットでしょう。

さらに、住宅ローンの借入金が多くなるほど、住宅ローン控除の金額も増えます。もちろん住宅ローン控除には金額に上限がありますが、オーバーローンのほうが控除金額が増えると考えていいでしょう。

避けたほうがいいといわれるオーバーローンにも、さまざまなメリットがあることがお分かりいただけたと思います。オーバーローンのメリットとデメリットをよく知ることで、賢くローンを利用しましょう。