購入から5年以内の不動産売却は、税金面で損をする
2023年10月27日
不動産投資では、今後値上がりしそうな不動産を購入して短期間で売却することを繰り返して、利ざやを稼ぐという方法があります。
しかし、短期間での売却はあまりおすすめできません。その理由をご説明しましょう。
不動産の譲渡所得税は、所有していた期間によって変わる
不動産を売却したときには、売却で得た収益に対して税金がかかります。これを一般的に「譲渡所得税」と呼び、ほかの収入とは分けて税額を計算する「分離課税方式」となっています。
じつは譲渡所得税は、売却した不動産をどのくらいの期間所有していたかで税率が変わってきます。5年以下の短期間のうちに売却すると、税金が高くなってしまうのです。
5年以上所有していた不動産を売却した場合は「長期譲渡所得」となり、税額は所得税15%、住民税5%で計算します。所有していた期間が5年以下なら「短期譲渡所得」とみなされ、所得税は30%、住民税は9%となっています。
なぜこんな税率になっているのかというと、いわゆる「土地転がし」のように短期間での転売が繰り返され、不動産価格が高騰してしまうことを防ぐためです。
不動産を短期で手放す人の多くは、不動産投資家です。投資で損をしないためには、不動産を取得するためにかかった金額に、利益分を乗せて売却しなければなりません。
転売を短期間に繰り返されると、不動産の価格はあっという間に上昇してしまいます。すると、一般消費者がマイホームを買いたいと思っても、なかなか手が出なくなることでしょう。
そういった事態を抑制するために、所有期間が5年以下の不動産を売却した場合には、高い税率が課されるようになっているのです。不動産の短期売却を考えるなら、税額も考慮して、売却価格や売却時期を決めることをおすすめします。
不動産の譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税の計算方法について、もう少し詳しく見てみましょう。
譲渡所得税がかかるのは、不動産の売却によって得た収益に対してです。つまり、売却価格から経費などを差し引いて、残った金額に課税されます。
たとえば3000万円で購入した不動産を、翌日に3500万円で売却したとしましょう。その場合、まず3500万円から購入にかかった3000万円を差し引きます。
実際には、建物の減価償却も計算に入れなければならないので、購入金額を丸ごと差し引くことはできません。そのためこの例では、計算に入れなくてもいいよう、購入した翌日に売却したと仮定しています。
残りの500万円から、購入時に支払った印紙税・登録免許税・不動産取得税、不動産会社に支払った仲介手数料、司法書士に支払った登記手数料を経費として差し引きます。さらに売却にかかる諸費用も、経費として差し引くことができます。
大まかに、購入時の諸費用が250万円、売却時の諸費用が100万円だったとしましょう。すると、不動産売却で得た利益は、3500万円-(3000万円+250万円+100万円)で150万円となります。
この売却益150万円に対して、所得税30%、住民税9%の短期譲渡所得税、所得税の2.1%に当たる復興特別所得税がかかります。もしも、売却金額から取得費用や諸費用を差し引いた金額がマイナスだった場合は、譲渡所得税はかかりません。
不動産の売却で赤字になった場合は、申告をする必要もありません。最初に言ったとおり、譲渡所得はほかの収入とは分けて税金を計算する分離課税方式なので、赤字分を給与所得などから差し引くことはできないからです。
ただし、申告をしないでいると税務署から問い合わせが来たり、税務調査が入ったりといったことも。面倒な事態を招かないためには、不動産売却で赤字になった時にも申告をしておいたほうがいいといえるでしょう。
また、投資用物件ではなくマイホームの売却で赤字になった場合は、「損益通算の特例」や「繰越控除の特例」が使えることがあります。売却赤字分を給与所得から差し引いたり、控除しきれなかった金額を翌年に繰り越して控除したりできるという特例です。
マイホームの売却で特例を受ける場合には、確定申告が必要になります。いずれにしろ、不動産売却時の税金についてよく知り、適切に申告を行うことで、なるべく損をしないようにしたいものです。
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