不動産鑑定士とは何をする仕事？　

投資用物件の活用に役立つアドバイスも

 

不動産鑑定士はその名のとおり、不動産の価値を鑑定する国家資格です。試験に合格するだけではなく、その後1～2年の実習を受けなければ、不動産鑑定士としての仕事はできません。そのため、弁護士、公認会計士と合わせて「三大国家資格」ともいわれています。

建物や土地といった不動産は、不動産のある場所や地域、不動産の形や状態によって価値が変わってきます。またその価値は、周辺の環境の変化や、法律の改正などによって刻一刻と変化していきます。

不動産の売買や相続、賃貸借などをする際には、その不動産は現在どのくらいの価値があるのかを見極めなければなりません。その不動産鑑定を行うのが、不動産鑑定士です。

ひとつ気をつけておきたいのは、不動産業者が行う「不動産の査定」は、不動産鑑定士による「不動産化の鑑定」とはまったくの別物だということ。

不動産の査定は、それぞれの不動産会社が独自の基準で「いくらで売却できそうか」という価格を導き出したものです。別の不動産会社に依頼すると、価格が全く違ってしまうこともあります。

不動産鑑定士が鑑定を行った結果は、「不動産鑑定評価書」という報告書にまとめられます。不動産鑑定評価書の作成ができるのは、不動産鑑定士だけ。不動産鑑定評価書は、不動産取引をする際の公的な価値の裏付けとして認められています。

たとえば住宅ローンを組むとしましょう。ローンで購入する物件にどのくらいの価値があるか分からないと、金融機関は安心してお金を貸し出すことができません。その時の判断段材料のひとつが不動産鑑定評価書です。

不動産鑑定士が活躍するのは、不動産の売買や相続といった民間の不動産取引だけではありません。国や自治体が行う「地価公示・地価調査」「相続税路線価評価」「固定資産税評価」も、国から委託を受けた不動産鑑定士の調査に基づいて決定されています。

投資用不動産の適正な賃貸価格を決めたい、手持ちの不動産を担保に事業資金などを借りたいといった際には、不動産鑑定士に依頼することをおすすめします。不動産鑑定評価書を判断基準にできるだけでなく、取引相手にも納得してもらえることでしょう。

不動産鑑定士の仕事は、不動産の鑑定だけではありません。不動産にまつわる権利の調整やコンサルティングも、不動産鑑定士の担当する業務のひとつです。

相続などを重ねていくうちに、不動産の権利関係が複雑になってしまうことがあります。そういったケースでは、不動産鑑定士に依頼して不動産鑑定評価書を作り、客観的な判断基準とすることで、トラブル解決につながることも。

不動産と聞くと、ほとんどの人がまず土地建物を思い浮かべることでしょう。しかし不動産にまつわる権利の中には、所有地の上空を使用する「空中権」や、地中を使う際の「地下権」なども含まれます。不動産鑑定士に依頼すれば、空中権や地下権の価値も鑑定してもらえます。

隣家への引き込み電線が自宅の上を横切る、隣家の植木の根が敷地内に侵入してきたといった場合、多くは当事者同士の話し合いで解決します。解決がつかなかった、あるいは金銭的な補償を求める際、不動産鑑定士に権利の適正な価値を導き出してもらうこともできるでしょう。

コンサルティングできる内容も、多岐にわたっています。所有している投資用不動産をもっと有効活用したい、マンションの建替えでの調整に苦慮しているといった相談にも乗ってもらえます。

不動産鑑定士は、不動産にまつわる法律や不動産そのものについての専門知識、社会状況や経済状況にも精通したプロフェッショナルです。きっと役立つアドバイスが受けられることでしょう。