レントロールとは？　

アパートやマンションの一棟買いではチェックが必須

レントロールとは、その建物に住んでいる借主たちの賃貸借状況をまとめた一覧表のこと。英語では「rent roll」と表記しますが、レントには家賃、ロールには記録という意味があり、日本語で言うと「賃貸借台帳」となります。

レントロールは、アパートや一棟貸しマンションなど、一人のオーナーが複数の借主に貸し出している物件で作成されます。つまり、いくつもの賃貸借契約を分かりやすくまとめたものが、レントロールなのです。

レントロールには一般的に、以下のような項目が書かれています。

・部屋のある階数や部屋番号

・空室か入居者がいるのかの現況

・入居者（借主）の名前や属性

・住居、事務所、店舗といった部屋の用途

・賃貸借契約を結んでいる期間

・部屋の面積や間取り

・賃料や管理費などの金額

・敷金はいくら納められているか

実はレントロールは、法律などで「作成しなければならない」と定められているわけではありません。そのため、決まった書式もありませんし、書かれている項目もケースバイケースイで、中には一棟貸しにもかかわらずレントロールを作成していない物件もあります。

物件全体の状況や、物件の経済的価値を判断するためには、レントロールがあると非常に便利です。もし、必要な項目がレントロールに書かれていない、レントロールそのものがないといった場合には、売主に問い合わせてみましょう。

レントロールにはさまざまな項目が書かれていますが、まず見るべきは入居率です。部屋の現況から、空室が何％あるのかを確認しましょう。入居率が95％以上なら、まず安心といえます。

入居率が95％を下回ると、家賃を下げなければ入居者が集まらない「家賃の下落」フェーズに入っていると考えられます。賃料を維持するため、大規模な修繕やリフォームが必要になることもあるので注意しましょう。

次に家賃のバラつきをチェックします。一棟貸しマンションなどでは、階数や間取りによって家賃に多少の差があることが一般的です。しかし極端に賃料が違う場合は、事故物件などの可能性もあるので、必ず売主に理由を確認しましょう。

同じ間取りの部屋同士を比較して、新しい借主のほうが賃料が安くなっているケースもあります。その場合、すでに家賃の下落フェーズに入っているということなので、注意が必要です。

借主の契約開始時期も、見ておきたい項目のひとつです。新築ではないのに、契約開始時期が近い借主が何人もいれば、大規模な空室が起こっていたという可能性が。

場合によっては、入居当初の数ヵ月は家賃を無料にする「フリーレント」というサービスを行って、借主を無理矢理集めて優良物件に見せかけていることもあります。契約開始時期が近くなっている理由を売主に問い合わせて、納得できない場合は購入を見合わせたほうがいいかもしれません。

企業などが複数の部屋を一括で借り上げて、社宅として使っているケースもあります。社宅であれば、実際には入居者がいなかったり、入居者が短期間で入れ替わったりしていても、安定した収入が望めるため好条件と考えていいでしょう。

しかし企業による借り上げ社宅は、リストラなどで社宅を借り上げておく必要がなくなった際に、一挙に大量の空室が出てしまうことも。リスクを避けるためには、借り上げている企業の業績もチェックしておきたいものです。

レントロールを見れば、さまざまな項目が一目でチェックできます。しかし、レントロールには一般的に書かれない項目もたくさんあります。

たとえば、家賃や管理費の滞納があるのか、過去の入居者トラブルの有無、空室ができた時期などは書かれていません。各部屋にケーブルテレビやインターネットなどの設備がある場合、契約料や使用料がオーナー負担となっていることもありますが、レントロールでは判断できません。

一棟買いを検討する際、たしかにレントロールは重要な判断材料になりますが、くれぐれもレントロールだけを見て決断することのないよう気をつけましょう。