住宅ローンの変動金利は、どうやって決められている？

 

住宅ローンの変動金利は、短期プライムレートが基準になっています。短期プライムレートとは、銀行が優良企業に対して、１年以内の短期でお金を貸し出す時に適用する金利のこと。略して「短プラ」といいます。

以前は、日本銀行が民間の金融機関にお金を貸し出す際の金利「公定歩合」によって、短期プライムレートが決められていました。しかし現在では、金融機関同士が取引をする際の市場金利が基になっているため、「新短期プライムレート」略して「新短プラ」と呼ばれています。

短期プライムレートは各銀行がそれぞれ独自に決めていますが、大きな違いはありません。2023年3月の時点では、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行のメガバンク3行とも、短期プライムレートは年1.475％となっています。

短期プライムレートは毎月変動します。各銀行の店頭やホームページでは、現在の短期プライムレートが確認できるので、見てみるのもいいでしょう。また日本銀行のホームページでも、最も多くの都市銀行が採用している短期プライムレートの「最頻値」と、最高値、最低値を掲載しています。

住宅ローンの変動金利は、短期プライムレートがそのまま適用されているわけではありません。短期プライムレートに1％程度のコストが上乗せされて、住宅ローンの変動金利が決められています。

短期プライムレートも各銀行が独自に決めていますが、どの程度のコストを上乗せするかも、銀行によって違います。住宅ローンを取り扱っている金融機関は、店頭やホームページで住宅ローンの変動金利を公開しています。これを「基準金利」または「店頭金利」と呼びます。

しかし、住宅ローンを借りる際に基準金利がそのまま適用されることは、実はそれほど多くありません。基準金利は商品につけられた定価のようなもので、実際には基準金利より低い金利が適用されることがほとんどです。

実際に適用される金利は、金融機関が貸し出す相手について、さまざまな要因から信用度を審査して決定します。具体的には、年齢や職業、勤続年数、年収、資産額、融資額、購入物件の資産価値、過去に支払いを延滞したことがないか、などが審査の対象になります。

どのくらいの優遇や割引が受けられるかは、金融機関や融資を受ける人によって変わってきます。審査の結果で決まった実際に適用される金利を、住宅ローンの「適用金利」といいます。

ひとつ注意しておきたいのは、金利が適用されるタイミングです。住宅ローンの金利は、本審査を受けている時ではなく、実際に融資を受ける時点での基準金利を元に計算されます。

住宅ローンの基準金利は、月ごとに変動しています。実際には1999年から20年あまり低金利状態が続いているため、住宅ローンの基準金利もほとんど変わっていませんが、今後は金利が高くなっていく可能性もあります。

 住宅ローンの本審査から、実際に融資を受けるまでに期間が空いてしまうと、その間に基準金利が変動して適用金利が高くなってしまうことも。「住宅ローンの本審査の結果を見てから、改めて資金計画をじっくり検討したい」と思うかもしれませんが、本審査を受けたら間を置かず融資を受けることをお勧めします。